叶わぬ愛の流転に翻弄されつつ、 アラビアの砂漠で燃え立つような日々を選んだ英国貴婦人。 もうひとりの『アラビアのロレンス』と言われたガートルード・ベルの、鮮やかな運命のアラベスク――
2017年1月21日(土)新宿シネマカリテ、丸の内TOEIほか全国順次公開しかしガートルードは、アラビアの砂漠の魅惑にとりつかれてしまう。その時父は、彼女が「アラビアの女王」とやがて称賛されることになるであろう、一人娘の姿を予測できなかった。時は20世紀となっていた。それは新たな時代の幕開けの瞬間でもあった。
やがてイランと称されることになるペルシャの公使館でガートルードは、三等書記官のヘンリー・カドガン(ジェームズ・フランコ)と運命的な出会いを果たす。ヘンリーは、イギリスにいた鼻持ちならないどんな男性とも違った。ガートルードの好奇心を受け止め、その好奇心を上回る知性で彼女を支えていく。そんなふたりが自然と惹かれ合うには時間はかからなかった。しかしヘンリーを長い間愛していた従妹のフローレンス(ホリー・アール)は、そんなふたりの関係に心身を消耗させていく。さらにガートルードの父は、身分が違いすぎるということで、ふたりの関係を認めようとはしなかった。彼女は父を説得するために一時帰国をするが、そこで聞かされたのは、ヘンリーは賭博常習者で破産状態にあるという事実だった。傷心のままに過ごすガートルードに飛び込んできたのは、生涯にわたり癒されることのない衝撃の出来事だった。ヘンリーは、ガードルードへの想いが実らないことに苦悶し、自死したのだった。ヘンリーとの悲恋と、胸の内の深い傷をいさめようと、彼女はますますアラビアの地にのめりこんでいく。アンマンの英国領事館で、考古学とベドウィンの研究のためのアラビア半島の砂漠の旅を申請するも、状況の不安定さから、英国軍人サイクス(ニック・ウォーリング)の怒りと反発をかってしまう。しかし彼女は忠実で優秀なる召使いファトゥーフ(ジェイ・アブド)を伴い、いよいよ2,500キロに及ぶ砂漠縦断の旅へと出るのだった。
2003年、スティーヴン・ダルドリー監督作『めぐりあう時間たち』でヴァージニア・ウルフ役を演じ、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞、そしてベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。前年2002年には、バズ・ラーマン監督による革新的なミュージカル『ムーラン・ルージュ』で初めて、アカデミー賞にノミネートされた。同作と、続けて出演した映画監督兼脚本家のアレハンドロ・アメナーバルによるサイコ・スリラー『アザーズ』の2作で彼女は2002年のゴールデン・グローブ賞の女優賞にドラマ部門とコメディ/ミュージカル部門でWノミネートされ、コメディ/ミュージカル部門で受賞を果たした。キッドマンが初めてゴールデン・グローブ賞を受賞したのは、ガス・ヴァン・サント監督の『誘う女』(95)。その他、ジョナサン・グレイザー監督作『記憶の棘』(04)、アンソニー・ミンゲラ監督作『コールド マウンテン』(03)、ロバート・ベントン監督作『ビリー・バスゲイト』(91)でもノミネートされている。2010年『ラビット・ホール』でアーロン・エッカートと共演。アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、全米俳優協会賞、インディペンデント・スピリット賞において、女優賞にノミネート。また、2012年『ペーパーボーイ 真夏の引力』でマシュー・マコノヒー、ザック・エフロン、ジョン・キューザックと共演。この作品でオーストラリア・アカデミー賞、全米俳優協会賞、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされた。
またダニー・ボイル監督の『127時間』(10)では主演を務め、インディペンデント・スピリット賞で主演男優賞を受賞。アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、全米俳優協会賞にノミネートされ、数多くの批評家協会から正当な評価を受けた。 ショーン・ペンと共演したガス・ヴァン・サント監督作『ミルク』(08)では、インディペンデント・スピリット賞で助演男優賞を受賞し、セス・ローゲンと共演したデヴィッド・ゴードン・グリーン監督のコメディ『スモーキング・ハイ』(08)〈未〉では、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされた。また、サム・ライミ版『スパイダーマン』(02、04、07)三部作におけるヘンリー・オズボーン役でもよく知られている。
ドキュメンタリー『グリズリーマン』は、2005年のサンダンス映画祭でアルフレッド・P・スローン賞を、ニューヨークとロサンゼルスの映画批評家協会賞で最優秀ドキュメンタリー賞を、そして全米監督協会賞でドキュメンタリー部門の最優秀監督賞を受賞した。1999年には、絶賛されたドキュメンタリー“Little Dieter Needs to Fly”(原題)(97)〈未〉でエミー賞にノミネート。北極についてのドキュメンタリー“Encounters at the End of the World”(原題)は2007年のアカデミー賞でドキュメンタリー長編賞の候補に。さらに最近では、ドキュメンタリー“Into the Abyss”(原題)と『世界最古の洞窟壁画3D 忘れられた夢の記憶』が高く評価され、世界各国の映画祭で数多くの賞を受賞した。
<Staff>
監督・脚本…ヴェルナー・ヘルツォーク
製作…マイケル・ベナローヤ、カシアン・エルウィズ、ニック・ラスラン
撮影…ペーター・ツァイトリンガー
編集…ジョー・ビニ
作曲…クラウス・バデルト
美術監督…ラビア・ヌガディ、キャロライン・スタイナー
キャスティング…サラ・ベンチェグラ
衣装…ミシェル・クラプトン
サウンドミキサー…ポール・パラゴン
オーケストラ…ロンドン・メトロポリタン・オーケストラ
オーケストラ指揮…アンディ・ブラウン
製作総指揮…ベン・サックス、ジェームズ・レイセク、スティーヴン・ヘイズ、ピーター・グレアム
製作…ベナローヤ・ピクチャーズ
撮影地:モロッコ、ヨルダン、英国(ウェストワイクーム公園)