レスリングを愛しすぎた男、いつか息子を金メダリストに。
しかし、うちには娘しかいない——。そうだ!
-
誰よりもレスリングを愛し、インドの国内チャンピオンにまで上りつめたが、生活のために引退したマハヴィル(アーミル・カーン)。母国に初の金メダルをもたらす夢は、まだ見ぬ息子に託した。ところが、待望の第一子は女の子。町の人々から伝授された“男の子を作る方法”を全て試しても、2人目も3人目も……なんと4人目も女の子。やむなくマハヴィルは夢を諦める。
それから十数年後、長女ギータと次女バビータが、悪口を言う男の子をボコボコにし、マハヴィルは2人を叱るどころか歓喜する。娘たちの格闘DNAを信じたマハヴィルは、止める妻を試しに1年間と説得する。
男物のTシャツと短パン姿で走らされ、お菓子もスパイス料理も禁止、ゲームやお出かけもなし。毎朝5時からの厳しい肉体改造が始まった。だが、女の子がレスリングなんてあり得ないと、一家はたちまち町の笑い者に。レスリング場の使用も断られ、マハヴィルは土のリングを作り、甥のオムカルに娘たちの練習相手をさせる。体力も気力も限界に達したギータとバビータは父親にやめさせてと懇願するが、許されるどころか髪を短く刈り込まれてしまう。ある夜、父に内緒で友達の結婚パーティに出掛けると、すぐにバレて激怒される。「あんな父親、要らない」と涙ぐむ姉妹に、意外にも花嫁が「いい父親よ」と諭す。幼い娘に家事を押し付け、14歳になったら顔も知らない男に嫁に出す自分の親と違って、マハヴィルは娘の未来のためを想っているというのだ。
-
心を打たれた2人は翌朝から特訓に励み、才能は急速に開花していく。ギータがオムカルに勝った翌日、マハヴィルはギータを男子のレスリング大会へ連れて行く。
最初は断られるが、話題になるとふんだ主催者に許可されて出場、ギータは破れたものの善戦し、拍手喝采を浴びる。その敗戦がギータの闘志に火をつけ、驚異の快進撃が始まった! やがてバビータも参戦、2人は男を投げ飛ばす少女としてたちまち人気者になっていく。いよいよ次は全国大会。男を負かしてきたギータに敵はいない。サブ・ジュニア、ジュニアと優勝し、さらに成長してシニアの全国チャンピオンを獲得、町の人々にも英雄として迎えられる。「ついに夢が叶ったね」と喜ぶオムカルに、「まだだ」と答えるマハヴィル。「俺の夢はお前が国際大会で金メダルを取った時に叶う」という父の言葉に、ギータはしっかりと肯くのだった。
インド代表となったことで、国立スポーツ・アカデミーに入団するために、家族のもとを離れるギータ。そこで彼女を待っていたのは、外食やおしゃれもできる自由な生活と、「父親の教えは一切忘れろ」というコーチからの指導だったーー。