多くの人に伝えたい、女の子を尊重したインドの一家の実話

本作の誕生のきっかけは、ニテーシュ・ティワーリー監督が、友人からフォガト一家の話を聞いたことだった。ティワーリー監督はその時のことを、「ごく簡単な話を聞いただけで、感動で胸がいっぱいになった。だから、どうしてもこの物語を一人でも多くの人に伝えたいと思った」と振り返る。
 フォガト一家の父であるマハヴィル・シンは、ハリヤーナ州のバラリという小さな村の出身だ。ティワーリー監督は、「マハヴィルが生まれた村のように、インドの特に進歩が遅れている地域では、ほとんどの人々が、男の子が産まれて家を継いでくれることを望んでいる。女の子が産まれた場合は、その子に男の子と同じような機会を与える親はまずいない」と説明する。
 ところが、マハヴィルは4人の娘たち全員を、レスリングの選手にしようと考えた。どんな困難に直面しても絶対に諦めず、娘たちを励まし続け、男の子と同じようなチャンスを与えさえすれば、女の子だって決して劣ることはないことを証明したのだ。ティワーリー監督は、「その点に最も心を動かされた」と熱く語る。