パンクに影響された偉大な監督デレク・ジャーマンの衣装デザインを手掛け、自身もロンドン・パンク界に身を置いていたサンディ・パウエルは、パンクの衣装を「できるだけリアルにすることを心掛けた」と説明する。「観客が少しでも遠い惑星の存在を信じるためには、地球が現実的な世界でなくてはならないと思ったの。この映画のパンクは、今の人が思い描く多色な髪の毛や大きなモヒカンではなく、もっと初期の頃の制服を切り裂き、自分の持っているものを利用していたパンクよ。ファッションではなくムーブメントだった。」
遠い星から来た人々に関しては、パウエルは「サブカルに見えつつ、魅力的な若者のグループである必要があった」と語る。彼らがエリザベス女王即位25周年の式典に、本物そっくりのユニオン・ジャックの雨用ポンチョを着てうまく溶け込もうと試みるのも、彼女ならではの天才的発想だ。彼らのツルツルのラテックス製の衣装を着るには、「ふたりに手伝ってもらう必要があったわ」とファニングは笑う。「ローションを塗ってするっと簡単に着られるように。おおごとだったわ」。
エンと逃避行に出てからのファニングが着ているヴィンテージのコートは、シェフィールドの古着屋から調達したもの。コンサートのシーンでは、切れ目が入ってファスナーが付いたジーンズや、プラスティックのごみ袋で編みあげたトップスを着た。ライトの熱で何度も溶けてしまったという。