19歳のアンヌ(ステイシー・マーティン)は、それまで予想だにしなかった刺激的な日々を送っていた。世界中から注目される気鋭の映画監督ジャン=リュック・ゴダール(ルイ・ガレル)と出会い、恋に落ち、彼の新作『中国女』の主演女優に抜擢されたのだ。
今までは触れ合わなかった新しい仲間たちと映画を作る刺激的な日々、そしてゴダールからのプロポーズ。ノーベル文学賞受賞作家フランソワ・モーリアックを祖父に持つアンヌと、ヌーヴェルヴァーグを代表する監督の一人であるゴダールの結婚は世間から注目され、まるでアイドルのようにメディアにも追いかけられる。パリのスタイリッシュなアパルトマンで、新婚生活をスタートする二人。どこへ行き、誰に会い、何をして何を食べるか、すべて決めるのはゴダールだったが、生まれて初めての体験ばかりで、アンヌはあらゆることを夢中で吸収していく。
しかし時代は1968年。街では革命の気運が日に日に激しくなり、ゴダールも映画制作よりも、学生や労働者と肩を並べて機動隊に石を投げたり、学生たちとの討論会に興じたりする事が増えていく。そんな中、アンヌは友人の映画プロデューサーのミシェル・ロジエ(ベレニス・ベジョ)から、カンヌ国際映画祭へ行こうと誘われる。共通の友人が監督する作品が選ばれたので、皆で応援をしようというのだ。だが、現ド・ゴール政権下の映画製作を批判するゴダールは、映画祭を中止すべきだと主張。カンヌ映画祭に行ってみたい気持ちを抑えきれないアンヌは、初めて夫に反抗し、ミシェルと共にカンヌへ出かけ優雅なバカンスを満喫する。一方のゴダールは、フランソワ・トリュフォー、アラン・レネ、クロード・ルルーシュらと共にカンヌに乗り込み、映画祭を中止へと追い込んでいく。
パリへ戻ったゴダールは、“ゴダール”の名前を捨て“ジガ・ヴェルトフ集団”を結成。全く新しい映画を撮ると宣言してみたり、ベルナルド・ベルトルッチ(グイド・カプリーノ)から誘われたローマでの映画会議で、ベルトルッチと激論を交わした末、絶交してしまったりと、我が道を進み続ける。「私を広い世界へと連れ出し、輝くような日々を与えてくれたゴダールに、いったい何が起きたの?」と、揺れるアンヌの元に、イタリアの奇才マルコ・フェレーリ監督から新作出演依頼が届く。アンヌは女優としてのステップアップを決意するのだが─。