ルーム  アカデミー賞をとるのも納得の絶賛!!

遂に日本での公開を迎えた映画『帰ってきたヒトラー』。
公開するやいなや、満席続出の大ヒットを記録!
公開劇場も急遽拡大されるなど、社会現象となり話題を呼んでいます。
そんな映画『帰ってきたヒトラー』をよりディープに楽しむための方法を翻訳家、
書評家であり、ドイツカルチャーのご意見番としても知られる
マライ・メントラインさんが徹底解説してくれました。
もうすでに映画を観た人も、これから観る人も必読です!

本作の前に観ておくことをおすすめ!
名作『ヒトラー ~最期の12日間~』

『ヒトラー ~最期の12日間~』
ナチスの党首としてドイツに君臨した独裁者“アドルフ・ヒトラー”の最期の12日間を、
彼の秘書ユンゲの証言をもとに描かれた衝撃の問題作!

STORY
1945年4月20日。ソ連軍の砲火が押し寄せるベルリン。ヒトラーとその側近たちは、総統官邸の地下要塞に避難していた。もはや敗戦を疑う者はいなかったが、正常な判断力を失ったヒトラーは、わずかに残った軍勢に戦況の挽回を命じ、惨状をさらに悪化させてゆく。
狂気の独裁者を前に、選択を迫られる側近たち。最期まで運命をともにしようとする者、袂を分かって逃亡を謀る者、酒と享楽に溺れて現実逃避する者。そんな一部始終を間近で目撃していた総統付き秘書のユンゲは、ある日、ヒトラーから遺書の口述筆記を依頼される―。

STAFF
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演:ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ララ、コリンナ・ハルフォーフ
2004/155分/ドイツ
(C)2004 Constantin Film Produktion GMBH

マライ・メントラインさんのコメント
「ベルリン陥落」という歴史の決定的瞬間を描く映画は、ひょっとして今後も、さらに優れた映像技術のもとで登場するかもしれません。しかし『ヒトラー ~最期の12日間~』は、あるひとつの点で他の追随を絶対に許しません。それは「史実を表現すること」に対する使命感と気迫です。そしてこのスピリットを象徴するのが、名優ブルーノ・ガンツの鬼気迫る一世一代の演技で…いや、これは演技ではない。1945年の魂と空気そのものを本気で呼び寄せてしまった、まさに再現を超えた恐るべき表現なのです!
ゆえに映画史上に残る名作となり、また「総統閣下シリーズ」という、公式サイド的には絶対認めるわけにいかない壮烈な副産物が生まれました。そう、想定内で生半なシリアスさからは、真の爆笑パロディは決して生じないのです。

関連リンク
『ヒトラー ~最期の12日間~』Blu-ray
http://www.amazon.co.jp/dp/B0085JFMPQ

「ヒトラー ~最期の12日間~」(ヨアヒム・フェスト)
http://www.amazon.co.jp/dp/4000019341
※映画のベースとなった歴史ドキュメンタリー。

「私はヒトラーの秘書だった」(トラウデル・ユンゲ)
http://www.amazon.co.jp/dp/4794212763
※『ヒトラー ~最期の12日間~』の語り手であるトラウデル・ユンゲの独白録。

「ベルリン陥落 1945」(アントニー・ビーヴァー )
http://www.amazon.co.jp/dp/4560026009
※本作で描かれるベルリン最終戦を包括的に「直視」したいならこの一冊!

「ヒトラーを支持したドイツ国民」(ロバート・ジェラテリー)
http://www.amazon.co.jp/dp/4622073439
※ナチ体制下のドイツ市民はどんな認識で日常を生きていたのか…? 「強制」と「同意」の心理メカニズムの深層に迫る分析。その原理は今なお生きているのではないか?

世界中で売れまくり!ベストセラー原作小説の面白さに迫る!

ドイツ250 万部、42 言語に翻訳された世界的ベストセラー『帰ってきたヒトラー』。このたび映画化に合わせて文庫が発売されたが、なんと文庫化1ヶ月で日本での累計発行部数(単行本含む)が17 万部を突破した。外国文学では異例の大ヒット中。現在もますます売り上げを伸ばしています。
「映画」とは違うこの「小説」自体も映画の中で重要な役割を果たすので、是非、両方楽しんでください。

マライ・メントラインさんのコメント
原作と映画、どちらかがイマイチだったりすると残念ですが、ご安心下さい。本作の場合は両方傑作です。映画が客観的な、いわば第三者的視点からのヒトラー描写で進行するのに対し、原作小説はヒトラーの内面的な主観世界の描写で成立しています。「悪夢に巻き込まれる世界」の物語と、「世界を悪夢に巻き込む思考」の物語…じつに見事な相互補完関係! そして、この両者を共に鑑賞した時点で初めて見えてくる「風景」が存在するのです。
ゆえに、映画をご覧になった皆様にこそ原作はオススメです。ここには、映画版とは異なるタイプの興奮と恐怖が待っています。まさに悪夢的な知的悦楽と申せましょう。

『帰ってきたヒトラー』 上巻/下巻  ティムール・ヴェルメシュ 著  森内薫 訳
河出文庫より 絶賛発売中!  定価:各691円(本体640円)  

関連リンク
帰ってきたヒトラー(原作文庫上巻)
http://www.amazon.co.jp/dp/430946422X

帰ってきたヒトラー(原作文庫下巻)
http://www.amazon.co.jp/dp/4309464238

帰ってきたヒトラー(原作Kindle版)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01FQE497E/

マライ・メントラインによる『帰ってきたヒトラー』解説(文庫あとがき)
http://web.kawade.co.jp/bunko/570/

ヒトラーのテーブル・トーク1941‐1944(上)
http://www.amazon.co.jp/dp/4879191221
ヒトラーのテーブル・トーク1941‐1944(下)
http://www.amazon.co.jp/dp/487919123X
※ヒトラーの日常会話の速記録。『帰ってきたヒトラー 』はこの内容をよく分析して書かれた形跡がある。