<五十音順/敬称略>
とにかくリリー・フランキーさんが良いですね。演技が、というかキャスティングが、というか。あの胡散臭さ、 エロさ、そしてペーソス。そこを軸に、原作小説を大胆に変質させていったわけですね。 原作は心の中でニヤニヤしながら読みましたが、映画では実際に声を出して何度も笑いました。
会田誠(美術家)
三島由紀夫の文章、その行間からしか立ち上らないはずの高雅さが、両目いっぱいに満ちた。 吉田大八×近藤龍人、この二人に映し出せないものなんて、何も無いのかもしれない。
朝井リョウ(小説家)
誰もが教科書通りに良い事と悪い事を表現してしまうようなこの世界で、マトモじゃない事が一番マトモなんだと思わせてくれるような傷だらけで美しい映画。
有馬和樹(おとぎ話/ミュージシャン)
空に星があるように、スクリーンの中に無限に拡がる大宇宙がある。そもそも、俺らとか映画とか表現って皆、自由なんじゃなかったっけ??と、改めて思わせてくれた橋本愛の美しさだけでも、永久に遺したい逸品!!!!
伊賀大介(スタイリスト)
「これがわかるの、私だけだ」。そんな秘密の共感が広がって、多くの人にとっての特別な一本となるに違いない。吉田大八監督、新たなマスターピースの誕生。
宇野維正(映画ジャーナリスト)
人類の破滅か救済か。なぜこの問いをめぐって宇宙人たちが論争しなくてはならないのか。三島の原作からはよくわからない。 しかし、この映画を見ると疑問は氷解する。これは、原作以上に純粋に原作の精神を表現する稀有な作品である。
大澤真幸(社会学者)
不思議な世界観に引き込まれていきました。言葉で表しにくい感覚に襲われつつも、最終的にこのタイトルの持つ意味を考えさせられました。
川島海荷(女優)
吉田大八監督は、舞台を現代に移し替えて大幅な脚色を施し、 おそらく三島が想定していたであろう「芸術上の観念」に忠実な映画化をなし遂げた。 早くも2017年を代表するような傑作の誕生である。
斎藤環(精神科医)
三島由紀夫は腹を切らずにまだ生きてたら現在92歳なのだが、この映画を観たら何と言うだろうか。彼はこのおそろしくアクチュアルなアダプテーションを言葉を尽くして絶賛したに違いない。三島が原作に封じ込めた強烈な風刺と一筋縄でいかないアイロニーが、半世紀以上を経て、忘れかけてた時限爆弾のように妖しく鮮やかに爆発する。 観客はシャカイに馴致されたヤワな精神を吹っ飛ばされるだろう。
佐々木敦(批評家)
「パーマネント野ばら」や「桐島、部活やめるってよ」で、話の核となる存在を、鮮やかな手つきで朧化した吉田監督は、奇怪な思考をする宇宙人が卑俗な人間かもしれないという曖昧さを、見事に21世紀の現代人の中に描き直した。「美しい星」は、換骨奪胎して深い主題で原作と響き合った映画である。
佐藤秀明(近畿大学教授・三島由紀夫文学館長)
吉田(監督)さんが、今この映画を撮りたいという気持ち、よくわかるなぁ。三島(由紀夫)さんは60年前にこの感覚を既に察知してたんですよねぇ。美しい星の、美しい映画、美しい感動、おぉ~恐い。
篠山紀信(写真家)
いつも素直になれないけど、帰ったら家族を(頭の中でこっそり)抱きしめたくなる映画です。
五月女ケイ子(イラストレーター)
それにしてもなんという繊細な映画であろう。文学性と娯楽性のぎりぎりの狭間で緊張感は保たれている。最後の場面は、現代SFだからこそ、現代文学だからこそ可能な、原作にはない「救い」があり、観客の心は癒されるのである。
筒井康隆(作家)
物語が進むにつれて頭にハテナはいっぱい浮かぶ… 何この展開! ストーリーも演技も刺激的でクセになります! 特にリリー・フランキーさんが最高です!
ドーキンズ英里奈(タレント)
三島由紀夫が半世紀前の冷戦時代に感じていた不安と、今、ぼくたちが向き合っているものが全く同じだという痛烈なメッセージがここにある。宇宙人の視点に立った時、何が見える?どんな気がする?とフィルムは問いかけるが、人間の純真を決して笑い飛ばさない代わりに、リアルな渇きや底抜けな笑いをリリーさんが渾身の力を込めて投げてくる。この作品を信頼していい。
直枝政広(カーネーション/音楽家)
なにこの映画!なにこの家族!?すげーおもしろい!! ナンセンスだしハイセンス!!!大八さん、あなたは地球人じゃないはずです、はい。
浜崎慎治(au三太郎CMディレクター)
外的、内的刺激を現実として結像する脳内回路が身体の外へと延長され、他者のそれともつれあった結果生まれる現実と、それを体験する脳内回路という合わせ鏡のようなリアルと眩暈の連続。
平沢進(音楽家)
どこへ連れて行かれるんだ? すれ違い家族に訪れた「覚醒」は、観客たちをとんでもない結末へと導く。 危険な映画だ。観た人は、まるで洗脳されたように超現実的な世界を受け入れてしまうだろうから。 使命のために奔走する人間は、気味が悪く、格好が悪くとも、美しい。たとえ彼らが、何星人であろうとも。
古市憲寿(社会学者)
恋人だと思っているひとの真意も、足元の地球の叫びも、私たちは言語の通じない、違う星々にいるのかもしれない。 ……アタシも女装星人に覚醒ポーズッ!
ブルボンヌ(女装パフォーマー/ライター)
何回も観たくなる映画。僕たちが信じている世界とか、確定している価値観などを一旦はがして、すべてを不確かにし、もう一度捉え直そうという気持ちになりました。 もう一度観たら見方が大きく変わる可能性がある。まだ僕が発見していないものがあるかもしれないし、実は考えすぎでもっとシンプルだったってこともあるかもしれない。僕にとっては、真剣に向き合いたくなる映画です。
又吉直樹(芸人)
映画を見た後のこの感情を、うまく形容する言葉が見つかりません。言葉にならない、とはまた違う、 どうしていいかわからず、僕は上を向いて走りました。作りたくて作るその衝動が美しくて。勇気が出ました。
松居大悟(映画監督)
三島由紀夫がまさに現代的に蘇った気がしました。 自分自身の存在というものが確立していなかった登場人物が、何かを分からずに求め、 そして与えられた使命をまっとうしようとするさまが、美しかったです。 三島の中にある存在不安、焦燥感と運命論が、実に良い形で人間賛歌に結合した気がします。
三浦瑠麗(国際政治学者)
原作と監督が惹かれあい、爆発が起き、余計なものがすべて燃え尽きたような映画。観終わったあと、大八さんの「この原作のために映画監督になった」という言葉の意味がわかるような。 大八さんがここまでやらかしてくれて、私は幸せです。
本谷有希子(劇作家・小説家)
今から50年前にSFという慣れない手法で三島由紀夫が残した地球と人類への思いが、とんでもない映像作品となって現代に蘇った。 三島が生きていたら、きっと大絶賛してくれたはずだ。吉田大八監督、この小説を映像化してくれてありがとうございます!
ヤマザキマリ(漫画家)
人間が、途方もなく美しかった。まるで宇宙人かと思うほどに。 俳優の命が、この宇宙の中で煌めいては炸裂する、世にも美しいスター映画。 二酸化炭素を吐き出して、新しい映画を作り続ける吉田大八さんの背中を、わたしたちは流れ星のように、追いかけることしか出来ない。
山戸結希(映画監督)