プロフィール

1970年生まれ、福岡県出身。照明技師の熊谷秀夫氏、上田なりゆき氏、大久保武志氏などの下で数多くの作品に参加し、『LADY DROP レディ・ドロップ』(03/中田圭監督)にて照明技師デビュー。近年の主な作品に『天然コケッコー』(07/山下敦弘監督)、『ノン子36歳(家事手伝い)』(08/熊切和嘉監督)、『ソラニン』(10/三木孝浩監督)、『海炭市叙景』(10/熊切和嘉監督)、『さや侍』(11/松本人志監督)、『マイ・バック・ページ』(11/山下敦弘監督)、『横道世之介』(13/沖田修一監督)、『そこのみにて光輝く』(14/呉美保監督)、『私の男』(14/熊切和嘉監督)、『きみはいい子』(15/呉美保監督)、『葛城事件』(16/赤堀雅秋監督)、『オーバー・フェンス』(16/山下敦弘監督)など。吉田監督とのタッグは、『パーマネント野ばら』(10)、『桐島、部活やめるってよ』(12)に続く3作目。

Q&A

本作の照明でこだわった点を教えてください。
原作の持つあの時代特有の終末観を現代の映画にするということで、テレンス・マリックやタルコフスキーの映画にあるような超越した視点(神の目線)を意識し、陽射し・樹木・水など日常にある物や人物のフェーストーンなどを透明感のある画として作りました…。これなかなか難しいのです。あとUFOの目撃談によく出てくる「オレンジ色の飛行体」「橙色の光」など、Y.OR色を超常的な光として作らせてもらいました。

藤井さんにとって吉田監督はどんな存在ですか?
ライバルです(汗)。僕にとって吉田監督はとても難しい方で、「負けるもんか!」という強い意志がないと表現者として指標を見失いそうになります。映画でケレン味をどう作るかは照明にとっては足し算として考えていきます。しかし吉田監督の演出は引き算だったりします。だからサジ加減はとても難しいのです。良くも悪くも「闘い」です。

それぞれのキャストの皆さんの印象を教えてください。
リリーさんはまさにこの映画の目指すシニカルとユーモアを体現できる方だと思います。亀梨さんは良い意味でフラットで作品に染まれる純度の高い俳優さんだと思います。中嶋さんは作品に対する距離感がとても上手くて蔵之介さんとのシーンでは現場にいる僕らもドキドキさせられました。さて橋本愛さん、美の象徴! 古今東西の美人画を見て勉強して挑みました。今回の橋本さんは神がかってます! お気付きでしょう、今回の暁子が 美しく見えるのは……彼女の資質です(笑)。

藤井さんが映画づくりの喜びを感じる瞬間は?
何年か経って、「あの映画面白いね」と携わった映画の話が出て、 僕の好きな映画たちと同じように語られると、映画は時代を越えて存在できるんだと感動します。

映画の照明を志した理由を教えてください。
学生時代、映画づくりに係わるなかで、時間・気候・心情などを心象風景として作り出す面白さがありました。楽しく苦しく眠く面白い職種です。

完成した映画はいかがでしたか?
まさに吉田大八印です。シニカルとユーモア、硬度と軟度を合わせ持つ映画です。 監督の言っていた「どこでもない場所」に辿り着いてみると、やはり監督は斜め上を歩いてました。