監督が惚れ込んだ感性
チャーリー・プラマー

 脚本が完成すると、ヘイと製作チームは主人公チャーリー役の俳優を見つけるために全国規模のオーディションを開始。応募者は何百人にものぼったが、その中でヘイはチャーリー・プラマーを第一候補に挙げた。「僕が俳優に求めるものは常に同じで、それは感受性と繊細さ。プラマーはどちらも持っていた。キャラクターの感情を的確に演じられる俳優はたくさんいるけど、プラマーは目で演じるんだ。彼の目にはいつも、感情や、それ以外の何かが揺れ動いている。とても繊細で、実直さや誠実さが伝わってくる何かがね」
プラマーは本作のオーディションに応募したあと、自分がいかに主人公のチャーリー・トンプソンに最適かを書き綴った手紙を監督に送った。ヘイは振り返る。「手紙を読んで、プラマーが主人公の特性を敏感に捉えていたことに驚いたよ。彼の演技は自然で大げさなところがなく、心の深くに感情の揺れや痛みを隠し持ちながら表現することが出来る。僕たちはそこに惚れ込んだんだ」
プラマーはニューヨーク北部のハドソンバレー出身。子供の頃の自身の経験を振り返り、チャーリーというキャラクターについてイメージを膨らませた。「子供のころ何度も引越しをしたんです。8回か9回、転校もしました。だからチャーリーが自分の居場所を求める気持ちも、それが彼にとって何を意味するのかも、僕には理解できました」
プラマーは苦境の中でのチャーリーの粘り強さに心打たれ、何としてもこの役を手に入れたいと思うようになったという。「一番すごいと思ったのは、決して諦めないところ。チャーリーが経験したすべてを、僕も同じように経験したわけではないけれど、もう限界だと思った時でも絶対に諦めないと僕も自分に言い聞かせてきた。だからチャーリーという、決して希望を捨てないキャラクターに強く惹かれたんだと思います」