ジョン・スペンサーというキャラクターは、その予想不可能な点で、サザーランドにとって精神的な兄弟のようになった。サザーランドは打ち明ける。「私はジョンとつながっていた。たまにそんなことがあったんだ。いつもじゃないし、しょっちゅうでもないけれど、時々撮影中に起きたのさ。ジョンが私にどうしたらいいか教えてくれて、彼がしたいことを言ってくれた。彼が自分を取り戻した時に出来ることも、記憶が混乱した時には出来ないこともね。とにかく、素晴らしい旅だったよ。」また、サザーランドはヘミングウェイを再発見したと語る。「全作品を読み返した。もう50年は遠ざかっていたけれどね。」 ヴィルズィ監督が、そんなサザーランドを絶賛する。「ドナルドの、キャラクターに飛び込む熱意と情熱は感動的だった。彼は実際にヘミングウェイとジョイスの学者になって、ジョン・スペンサーそのものになった。私たちがキャンピングカーを別の撮影のために出発点に戻さなければならなかった時、ドナルドは別の人間に車を触らせたがらなかったほどだ。ドナルドの作品への熱中ぶりと、セットの外でもキャラクターが憑依し続けている様に魅了されたね。ドナルドは、完璧にアクターズ・スタジオのメソッドを体現していた。伝説的人物によって、メソッドを目の当たりにするのは非常に感動的だった。」