恋愛の光と影を観る者に体験させる脚本

恋愛の光と影を観る者に体験させる脚本

自ら脚本を手掛けたシアマ監督は、恋愛における光と影に迫ろうと決める。恋に落ちる瞬間のときめきと、徐々に高まっていく愛しさの“ 光”と、運命に引き裂かれた愛がもたらす“ 影” を描くのだ。シアマ監督は、「追憶という形をとり、恋愛の思い出に焦点を当てました。過去と現在と時間を二重に構成することで、観客が登場人物の感情を体験することができるように考えました」と解説する。
この時代の女性たちは、自分たちの将来がすでに決められていることは承知していたが、定められた運命以外の体験もしていた。シアマ監督は、「当時は女性たちの欲求が禁じられていたとしても、好奇心旺盛で恋愛することを望んでいたという事実は現在と変わりません。私は、彼女たちの友情や問いかけ、ユーモア、そして走ることへの情熱に報いたかった」と語る。
さらに彼女が目指したのは、対等な関係のラブストーリーだ。社会的な階級や力関係とは関係のない恋愛で、この原則が映画全体を通して貫かれた。主人公と使用人との友情も階級を越えたもので、身分の高い伯爵夫人とも率直に話し合う。