2016.04.25 POSTED

舞台挨拶付き完成披露試写会実施レポート

4月24日(日)に阿部寛さん、真木よう子さん、吉澤太陽さん、樹木希林さん、是枝裕和監督による舞台挨拶付き完成披露試写会を実施いたしました。

カンヌ国際映画祭への正式出品決定後、初めてキャストと監督が勢ぞろいする場となり、映画祭への期待や想い、撮影でのことを振り返り語って頂きました。

満席の会場から大きな拍手で迎えられながら登場した、阿部さん、樹木さん、真木さん、吉澤さん、是枝監督。第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門への正式出品が決定した本作は、是枝監督にとっては『そして父になる』『海街diary』に続き、3作連続のカンヌとなります。

MC:是枝監督作品で“良多”を演じるのは、『歩いても 歩いても』『ゴーイングマイホーム』に続き3作目となる阿部さん。本作で演じた“良多”はいかがでしたか?

阿部さん:
是枝監督作品は4本目ですが、ここまでのダメ男を演じたのは初めてです。それでもどこか憎めないキャラクターで楽しんで演じていました。こういう人よくいるなと思うんです。子供の頃に僕もこういう大人がいたことをよく記憶していて、50代になった今でも鮮明に覚えているんです。それに、ダメなところもあるけど、共感できる部分もたくさんある。せこいところとか弱いところとか(笑)それが憎めない理由なんじゃないのかな。

MC:そんな良多の元妻の響子を演じた真木さん。撮影現場はどのような雰囲気でしたでしょうか。

真木さん:
是枝組は穏やかなので、今回もフラットな状態で芝居ができました。

MC:印象的だったシーンを教えて下さい。

真木さん:
私も貧乏育ちなので、カルピスを凍らせてガリガリ削りながら食べるシーンは懐かしく感じましたね。

MC:そんな2人の一人息子・真悟役の吉澤さん。台本をもらわずに現場でシーンや台詞を監督から聞きながら演じたそうですがそのことについて教えて下さい。(当時は小学6年生で、今は中学2年生になった吉澤さん)

吉澤さん:
僕は台本を覚えるのは得意な方なんですけど、その場で覚えるのは緊張しました。試写を観てはじめてストーリーを知りました。この2年ずっと知らなかったんです。

MC:そんな元家族たちを、温かな眼差しで見守るような印象もある母親役を演じた樹木さん。是枝監督の作品は今回が5作品目になりますが今回の現場はいかがでしたでしょうか。

樹木さん:
みんな良多のことをダメ男、ダメ男っていうんだけど、誰しも良多のような部分はもっていると思うの。私の周りにはもっとすごいのがいるから、うちの息子は全然ダメなんて思えないのよ!

MC:キャストの演技があまりに自然で台本はないのでは?と思わせる本作ですが…

樹木さん:
一言一句、まる(。)やため息までもすべて台本通りです!

是枝監督:
本当にその人の口からでる台詞のように意識して脚本は作っているつもりですが、そういう風にみえるのは役者さんが良い証拠だと思います。

MC:本作の舞台である東京都清瀬市の旭が丘団地は、監督が9歳から28歳まで実際に住んでいた場所だそうですが団地でのロケはどうでしたか。

阿部さん:
狭かったですね

真木さん:
私の子供の頃はあんなところに住んでいたので、懐かしくおもいました。

MC:撮影現場には、監督の同級生やその親御さんたちが多く激励に訪れたようですね。

樹木さん:
近所の方たちに、“是枝くん是枝くん”と肩をたたかれてたわね。

是枝監督:
(照れ笑い)

MC:多くの「名言」が散りばめられている本作ですが、劇中での印象に残っている台詞教えて下さい。

阿部さん:
“なりたい大人になれるなんて思うなよ!”ですね。高校生に逆ギレするシーンなんですが、とても気に入っていて、もっとやればよかったと後悔しているくらいです。

真木さん:
今、母と一緒に住んでいるので“あんた、私が死ぬまでここでちゃんとみてなさいよ”という樹木さんの台詞は胸に刺さりましたね。

吉澤さん:
“パパはなりたい大人になれた?”という台詞です。自分でいった台詞ですけど、なんだかウルっときてしまいました。

樹木さん:
“私いいこといった?メモしていいわよ”と良多にいうシーンが可笑しくて本当に好きですね。

是枝監督:
“するわけないでしょ、あなたと人生ゲームなんて”と真木さんが良多にいうシーンですね。あの真木さんの言い方が、この人どれだけ嫌な想いしてきたんだろうとしみじみ思えるような言い方で(笑)可笑しかったです。

MC:(「なりたかった大人」になれていない人たちを描いている本作ですが、「なりたかった大人」になれているかという質問に対し、是枝監督以外はなれていると回答。)なりたかった大人になれたターニングポイントはどこでしょうか。

阿部さん:
僕は最初はモデルをやっていて、俳優という仕事にまさかつけるなんて思っていなかったけど、明らかにそこで変わったと思います。

真木さん:
子供の頃すごい変わっていて、飛行機に追いつけると思ってすごい走ってたんですけど、そのころですかね(笑)。

樹木さん:
ずるずる役者を続けていますけど、癌になったことでしょうか。そこから先を見据えて計算できる生き方をするようになりました。

吉澤さん:
阿部さんのようなどんな役柄でも演じられる役者さん、そして人間としても臨機応変に対応できる大人になりたいと思います!

MC:最後に一言お願い致します。

阿部さん:
本当にみなさん、今日はありがとうございました。是枝作品に関わらせていただけるのは本当に夢のようです。今回演じたキャラクターはダメだけれど、自分なりにチャーミングに演じられたと思っていて、一番好きなキャラクターになったかなと思っています。台詞がないところにもその人の人生がにじみ出ている。本当に良い作品なので、みなさんがこの作品を応援してくれることを願っています。