ルイの兄の妻カトリーヌを演じたコティヤールは、その場でどんどん変えていくドランの演出を、一緒に“ライブ・アート”を作っているようだったと語る。数多くの現場を経験している彼女が、「他にはないユニークな手法よ。私にとって初めての経験だったわ」と称賛する。
ルイの妹のシュザンヌ役を演じ、「全世界共通のテーマである家族について考えるこの映画は、とても身近でリアル」と称えるレア・セドゥは、ドランの演出についてはこう説明する。「とても熱心。一緒に泣いて、笑ってくれる。彼自身がとてもワクワクしていて、エネルギーを分けてくれるの。とてもハッピーで、決して退屈することはないわ。」
母を演じたナタリー・バイも「ドランは私たちと一緒に演技をするの」と指摘する。「私はたくさんの映画に参加してきたけれど、グザヴィエは別格よ。」
 ルイの兄アントワーヌに扮したヴァンサン・カッセルは、「愛している人に愛しているということは、とても難しい。だから、アントワーヌのことは理解できる。僕とは全く違う人物だけれどね」と説明する。また、ドランについてはこう語る。「自分に嘘をつかない男だ。そこには彼独特のスタイルがあって、僕らには理解不能な何かがある。彼ならではのカメラの動かし方、ストーリーの語り方、感情の引き出し方があるんだ。ロジックは存在しない。次第に形になり、周囲にはその仕上がり像が曖昧だったのに、完成した瞬間、打ちのめされるんだ。」