原作で独特な立ち位置を占める「斉藤さん」をどう表現するかは、企画段階からの課題だった。アイデアを出し合う中、登場人物が行き交うペデストリアンデッキで、物語の鍵を握る歌を10年に渡って歌うストリートミュージシャンという設定に意見がまとまると、早速オーディションが始まった。制作サイドの暗黙のルールは「やっぱり和義さんに似ている人がいいよね」。ミュージシャンでもあるこだまたいちに的が絞られた頃、斉藤が手がけた主題歌「小さな夜」も完成。ギターを持って主題歌を歌う、こだまの弾き語り映像を斉藤に見せると「何か似てるね」とぼつり。本作での「斉藤さん」が絶好の立ち位置で決まった瞬間だった。シンガーソングライター・斉藤の王道とも言える主題歌「小さな夜」の心に響く歌詞とメロディ。これまでの斉藤サウンドを心地よく裏切ってくれるような劇伴音楽。本作の音楽の魅力は斉藤ファンの想像をもはるかに超えるものになっている。