富貴晴美音楽

1985年生まれ、大阪府出身。NHK大河ドラマ「西郷どん」、連続テレビ小説「マッサン」、「舞いあがれ!」など多数の作品で音楽を担当。映画では『わが母の記』(13)で第36回日本アカデミー賞音楽賞優秀賞を最年少で受賞。『日本のいちばん長い日』(16)、『ホテルローヤル』(20)、『老後の資金がありません!』(21)、『そして、バトンは渡された』(21)、『かがみの孤城』(22)などを手掛けている。劇団四季オリジナルミュージカル「バケモノの子」(22)、「ゴースト&レディ」(24)の音楽も担当。

INTERVIEW

楽曲を制作するにあたり、河合勇人監督や音楽プロデューサーの佐々木次彦さんら、製作サイドからは、どのような要望がありましたか?

表題曲の「Secret」に関しては、「メロディーを口ずさめる、みんなに愛される名曲を作ってほしい」と依頼されました。『オリジナル版』での「Secret」は、対位法(異なる2つの独立したメロディーを、同時に美しく鳴らすためのテクニック)を駆使して作られており、クラシック要素が主体となっていました。そこで、今回の「Secret」は、クラシック要素を取り入れつつ、より分かりやすく美しい曲にしたいと思いました。そして、監督、プロデューサーの考えや1つ1つの言葉が、音楽のイメージを形づくっていきました。

苦労された点など、楽曲制作時のエピソードを教えてください。

「Secret」をまっさらな状態から作曲する瞬間を今でも思い出します。ピアノの前に座って、湊人になりきっていた日々を。愛する人のところに走っていきたい。その想いが溢れるその感情をそのまま音楽にしたいと望んでいました。苦労した点はないです。映像と音楽をリンクさせながら作曲するために、何万回も同じシーンを見るのですが、いつまでも見ていられるほど至福の時間でした。

撮影現場を訪問されたときの印象は?

京本大我さんが「Secret」を演奏された日の撮影現場に伺いました。スタジオに入ると、そこには湊人がいて、ピアノを演奏する姿を見ているうちに、自然と涙が出てきました。京本さん、古川さん、お二人とも、たくさんピアノを練習されて、素敵に演奏してくださったことに感謝しています。

完成した作品をご覧になられたときの感想は?

「オリジナル版」を観たときにファンタジーのようでリアルな描写に心を惹かれましたが、河合監督は美しく、力強く、その世界に引き込む天才です。なので、まったく新しい『言えない秘密』が出来上がると、最初から確信していました。そして、完成した作品を観たとき、美しくも儚い傑作に携わることができたことに、心が震えました。

作品をご覧になられる方に、一言お願いします。

湊人と雪乃を想い、「Secret」という楽曲が生まれました。私はこの曲を大切に弾き続けていきたいと思いつつ、多くの方々に愛おしく聴いてもらえたり、演奏してもらえたりする楽曲になることを願っています。是非、新しい『言えない秘密』を楽しんでください。