衣装は、ヨーロッパやアジアの大作で活躍するワダエミが担当した。彼女からは、観客がひと目でわかるように、幕府方は赤、安中藩方は濃紺など、キャラクターの属性を色で表現することが提案された。また、西洋文化が少しずつ入ってきた幕末という時代の魅力も衣装で表現したいという要望が出され、従来の時代劇よりは、自由に発想されたデザインとなった。たとえば、勝明が大広間に藩士たちを集める時などは、これまでの時代劇なら裃姿だが、紋切り型を避けるために紋付き袴姿となった。悪役の隼も、役柄を象徴し西洋の要素を取り入れた衣装となっている。雪姫の衣装は、和の柄に色はティファニーブルーを合わせ、優美な衣装であると同時に、西洋に憧れた彼女のキャラクターも表現している。
撮影監督は、『るろうに剣心』シリーズや『マンハント』で知られる石坂拓郎に依頼された。ロサンゼルスを拠点に活躍している石坂なら、日本と海外の視点を持っているため監督と作品の良き理解者となり、この革新的なプロジェクトに力を発揮できるだろうと期待されての起用だ。もちろん、アクションの名手としての腕にも全幅の信頼がおかれた。
美術監督の佐々木尚もまた、『モテキ』や『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』などの邦画やauの三太郎シリーズのCMなど日本での仕事もしつつ、アレハンドロ・ホドロフスキー監督作品に参加するなど、海外視点を持っていることから依頼された。ワダエミの衣装と佐々木の美術により、サムライの時代が間もなく終わり西洋文化が積極的に日本に取り入れられ始める、この時代ならではの、ユニークで印象的な世界観が創り上げられた。