INTRODUCTION

かつて日本中を熱狂させた、不世出の天才ボクサー赤井英和
浪速のロッキーがスクリーンに甦る。

俳優、バラエティータレントとして、世代を超えて愛される赤井英和。しかし、本当の“AKAI”はあまり知られていない。

かつてはプロボクサー。1980年に鮮烈なデビューを飾り、戦績は21戦 19勝 16KO 2敗(※デビュー12連続KO《試合時間計72分》は日本タイ記録)。

もっと前へ、もっと強く。ひたすら、どつき倒す。倒れても立ち上がる。その歩みを止めない、戦いを止めないスタイルは最高に強く、最高にかっこよかった。彼は本物のヒーローだった。

そして、人々は大阪市西成区生まれの“AKAI”をこう呼んだ。「浪速のロッキー」と。

製作に当たっては、赤井の俳優デビュー作『どついたるねん』(1989)の阪本順治監督が全面協力。再起不能のダウンから復活を遂げ主演として自分自身を演じた『どついたるねん』と、朝日放送テレビの映像協力による、世界王者に挑戦した「ブルース・カリー戦」と引退の引き金になった「大和田正春戦」の息を呑む迫力の試合映像、貴重なインタビューで綴られる。

STORY

"C'mon ! AKAI !"

1985年2月、大和田正春戦。トレーナー、エディ・タウンゼントの声が響く……。

その試合から数時間後、赤井は大阪市富永病院で急性硬膜下血腫、脳挫傷と診断され、緊急の開頭手術を受けていた。大和田との試合、第7ラウンドで強烈なパンチをくらい、KO負け。意識不明に陥ったのだ。生死の境をさまよった赤井が見たものは……。

それから35年後。自宅で時間を持て余したアロハシャツ姿の赤井英和。トランプでタワーを作ろうとするが、うまくいかず、「うわー!」と少年のような絶叫を上げる。かと思えば、その4時間後、突然チャーハンを作り始めた。「うん! うまい!」と妻・佳子。キッチンのガスコンロ、床にコメがこぼれているのを見て、苦笑い。一見なんでもない家族の団らんだが、赤井が家にいたのはワケがある。

2020年春、新型コロナウイルスが全世界を襲った。日本でも緊急事態宣言が発動され、不要不急の外出ができなくなった。俳優・タレントの赤井の仕事はすべてキャンセルになったのだ。

「怖いよ、今は仕事もイベントも舞台も映画もドラマも自粛しているからな。仕事もしたいけど、なかなか厳しい状況やからな……」。とはいうものの、赤井は “今”を満喫している。赤井英和は、今という瞬間瞬間を生きる男なのだ。

そんな赤井に息子の英五郎は、ボクシングとの出会いを聞く。

「あの時、浪速高校を受験しました。その晩かな、先輩が、受かってもいないのに、『なあ、赤井。食堂の前に朝10時に来い』って言うんだ。なにかな、と思ったら、なんてことはない、ボクシングの雑用係で呼ばれたんだ……」

赤井は、鮮烈に覚えているボクシングとの出会いについて語り出す……。

CAST

赤井英和(あかい・ひでかず)
HIDEKAZU AKAI

1959年8月17日生まれ。大阪市西成区出身。先輩に誘われ、浪速高校入学とともにボクシングを始める。

高校の戦績は30勝9敗。3年ではライトウェルター級でインターハイ、アジアジュニアアマチュアボクシング選手権で優勝。近畿大学に進学し、モスクワ五輪の代表候補になるが、日本のボイコットにより、断念。在学中にプロに転向する。アマチュア時代の戦績は56戦44勝(22KO)12敗。

1980年9月、プロデビュー。12連続KO勝ちの日本記録タイを樹立。「どついて、どついて、どつきまくる」スタイルから「浪速のロッキー」の愛称で親しまれ、ノンタイトル戦ながら、全国にテレビ中継された。1985年2月5日の試合でKO負けし、一時は意識不明の重傷を負い、選手生命を閉じる。引退後、自伝「浪速のロッキーのどついたるねん 挫折した男の復活宣言」(1987)を出版。当時、無名の新人だった阪本順治監督の目に留まり、自伝を基にした映画『どついたるねん』(89)で俳優デビュー。第63回キネマ旬報ベスト・テン・新人男優賞、第44回毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞、第14回報知映画賞・新人賞を受賞。その後はテレビドラマ、映画、バラエティー、舞台、CMとマルチに活躍する。

主な代表映画作は『王手』(91)、『119』(94)、『ありがとう』(06)、『憑神』(07)、『あしたになれば。』(15)、『文福茶釜』(18)、『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』(19)、『ねばぎば 新世界』(21)など

1985/02/05 大和田正春(角海老宝石)KO負け 7R 2分49秒
「まったく覚えていません。終ったんやにショック」

「大和田戦のことは、まったく覚えていません。だいぶ回復してから、『赤井、実は試合は終ったんや』と言われた時は本当にショックでした。

ショックとともに俺には燃えるもんがありまして、ちくしょーと思て『よし、これからまた練習して大和田倒して病院送って、連勝記録して、連続記録して、連続KOして、世界タイトルつかんだんねん。俺は、まだ終ってへんぞー』という気持ちだったんです。それが退院の時になって、院長先生と主治医の先生から、ようわからん説明を受けました。つまりはもうボクシングは出来へんということだったんです」(同)。

©1989/写真提供:リトルモア

エディ・タウンゼント
Edward "Eddie" Townsend

1914年10月4日生まれ、アメリカ合衆国ハワイ州ホノルル出身。1988年2月1日死去。1962年に「日本からヘビー級のボクサーをつくる」ために力道山に招かれ来日。 63年の力道山の死去後は田辺ジム、米倉ジム、金子ジムなどから招へいされ、選手育成に尽力。藤猛、海老原博幸、柴田国明、ガッツ石松、友利正、井岡弘樹の6人を世界チャンピオンにした。死去後は国内で最も活躍したトレーナーに贈られる「エディ・タウンゼント賞」が創設され、その指導法や遺志は「エディタウンゼントジム」に引き継がれている。

大和田正春(おおわだ・まさはる)
MASAHARU OWADA

1961年1月12日生まれ。東京都練馬区出身。1979年6月、ジュニアライト級でプロデビュー。1984年9月17日、赤井英和をアマチュア時代に倒した男として注目されたプロ5戦5勝の野村勝英に1R KO勝ち。

スーパーライト級に階級を上げ、1985年2月5日、大阪府立体育会館で赤井の世界前哨戦の対戦相手として出場し、左ストレートで7回KO勝ち。1986年8月日本ミドル級王者。4回防衛に成功。1987年12月、網膜剥離により現役引退。『どついたるねん』『鉄拳』(監督:阪本順治)に出演。

監督・編集
赤井英五郎(あかい・えいごろう)
EIGORO AKAI

1994年9月22日生まれ。東京都世田谷区出身。名前は父「英和」と祖父「五郎」からもらった。

12歳の時にハワイに留学し、中学、高校、大学をアメリカで過ごす。米カリフォルニア州ウィッティア大時代に映像制作を学ぶ。

スポーツでは9歳の時にラグビー、高校時代はアメリカン・フットボール。20歳の時、大学在学中に「自分の可能性を確かめるため」にボクシングを始める。2018年、全日本社会人選手権ミドル級で優勝。東京2020オリンピックを目指すが、2019年11月、「第89回全日本ボクシング選手権」2回戦で敗退し、出場権を逃す。アマチュア戦績は14戦8勝6敗。2021年9月11日、後楽園ホールでプロデビュー。身長179cm。

COMMENT

今甦る“浪速のロッキー”の勇姿に各界著名人が絶賛!

<順不同>

  • 坂東玉三郎さん(歌舞伎俳優)

    赤井英五郎君の、お父さんへのこの上ない愛と、ボクシング人生への哀歓が胸を打つ

  • ガッツ石松さん(ボクシング/元WBC世界ライト級王者)

    トレーナーのエディさんは同じく私のトレーナーでもあった。赤井君のようなボクサーはなかなかいない。

    彼のボクシングは最高だよ!ボクシングファン、赤井ファンの皆さんは一見の価値がある物語だと思います。

    いいメモリーの映画でした。OK牧場!

  • 具志堅用高さん(ボクシング/元WBA世界ライトフライ級王者)

    世界を目指す輝き。夢を諦めた寂しげな笑顔。穏やかな今。

    いつだって浪速のロッキーは皆を強烈に惹きつける。

  • 前田日明さん(格闘家)

    いつも熱く純情な奴

    いつも熱く誰かを惹きつける奴

    いつもいつも熱くどてらい奴!

    浪速の権太

    赤井英和見参!!

  • 寺島進さん(俳優)

    ボクシング界で世界チャンピオンになれなくてもですよ、

    人間界で世界チャンピオンになっているのは、赤井英和さんだと思います。

    その明るい人間力に脱帽!

  • 笠井信輔さん(フリーアナウンサー)

    興奮した!俳優・赤井英和がボクサーだったとは知っていた。しかし、こんなにもすさまじいボクサーだったとは! 守ることを知らない攻めるだけの「喧嘩ボクシング」。こんなにも強烈な沢山の試合映像を見られる幸せ。そして衝撃。まるで映画、劇画、感動。彼が「浪速のロッキー」と呼ばれた意味が今わかった!

  • 柱谷哲二さん(サッカー/元日本代表キャプテン)

    作品の完成度が高くてびっくりしました。僕自身も世界には行けなかったので、相通ずる部分があり、感慨深い思いで観ました。『AKAI』はとても赤井さんの人柄が出ている映画でした。赤井ファミリーが支えている、全ての人が支えている、素晴らしい映画だと思います。

  • 中田大輔さん(トランポリン/シドニーオリンピック日本代表)

    もしかしたら今日の試合で何かが起こってしまうかもしれないという中で自分を奮い立たせてリングに上がっていたのだろうと思うと、その背景がよくわかるため、感動して途中で2回ほど涙を流しました。

    越えなければいけない壁や死線をくぐったからからこそ優しさが湧いている。

    そういう赤井さんの姿が見られるので、皆さんに観ていただきたいです。

  • 城戸康裕さん(K-1ファイター/元WBKF世界スーパーウェルター級王者)

    当時の映像がたくさん残っているので、凄い人だったのだなと率直に思いました。現役生活が終わった後に赤井さんが大成功されているのを見ると、ああいう風になれるんだ!とレールを引いてもらえたようで勇気を頂きました。バラエティやテレビでは見られない赤井さんの過去がじっくり観られるので、是非、ご覧ください。

  • 高野人母美さん(ボクシング/第2代OPBF東洋太平洋女子スーパーバンタム級王者)

    コロナ禍にあって、ネガティブなことではなくてポジティブなことを世の中に伝えていくという発想が素晴らしいと思いました。自分が選んだ道だけど、それが無くなってしまう。どうやって道を見つければいいのかという中、赤井さんは俳優になられた。それが素晴らしいと思いました。そして、家族って良いなと感じさせられる映画でした。

  • 海堀あゆみさん(サッカー/元なでしこジャパンGK・2011FIFA女子W杯優勝

    胸が熱くなった、あっという間の1時間半でした。赤井さんは笑顔のイメージがありましたが、現役生活の苦しみや、表に見せないところには共感できました。そして、赤井さんのことをより大好きになりました!言葉にしないコミュニケーション、生き様、その全てが私の胸に突き刺ささり、自分ももっと頑張らないと、と元気と勇気が貰えました。

  • 新井真季子さん(アルペンスキー/FISワールドカップ出場)

    私はボクシングについては詳しくないですが、映画を通じて、戦う姿、戦う以外のシーン、そして、リングを降りた時に1人の人間として皆に愛される人間性は、アスリートとして尊敬する部分が多かったです。試合に向かう姿勢や、大怪我をされたような状況になっても自分の道を行く―その瞬間を生きる姿から、パワーを頂きました。

  • 下田昌克さん(イラストレーター)

    「浪速のロッキー」が好きでよかった。「どついたるねん」が好きでよかった。

    「AKAI」を観れてよかった。

  • 片岡礼子さん(俳優)

    身体中這う血管。無心に繰り出す拳。リングが映るなり涙が落ちた。

    誰もが旅の途中、映画は人生、その行き先は奇跡。

  • 安田成美さん(女優)

    早速、憲武さんと拝見してきました。息子さんが監督というだけでもなんだか、

    やっぱり感動です!選手だった赤井さん、カッコ良い!もちろん今も!

絶賛と感謝の観客コメントも続々到着!

<順不同>

『モハメド・アリかけがえのない日々』(アカデミー賞受賞)を観たときと同じ衝撃を感じた。

(「ボクシングビート」編集長 前田衷さん

観に行った自分をほめたいくらいの、後世に伝えるべき作品!

(40代 女性 漫画編集者)

感動しました。すごい生命力だと感じました。
あきらめず、コロナ禍を乗り切った先にいい事があると思える映画でした。
ありがとうございます。

(50代 女性)

人生いつ何が起きるわからないが、常に前向きでいられる赤井さんが、とてもうらやましく、ステキでした。
私も前向きに過ごしたいと思います。

(60代 女性)

ボクシングという華々しい世界の光と陰。
ものすごい運命の波にあらがわず、流されるでもなく。
とてもよかったです。
これからの人生を応援したい。

(50代 男性)

当時を知らない若い世代が観て語り継いでいくべき、男の生きざまが映った映画です。

(18才 男性)

赤井英和の11年間の“ボクシング人生”。
それがこれほどまでに濃厚で、どれほど彼の中の核となっているかを映画で知ることができた!
感動した!ありがとう!

(40代 女性)

映像構成、すばらしい!
『トップガン』より面白い。
なぜなら真実だから。

(60代 男性)

これを観ずして赤井英和を語るな。

(50代 男性)

赤井さんの若い頃、噂だけでほぼ知りませんでした。
ファイターの時、泣きそうなくらい感動しました。
「どついたるねん」が観たくなりました。

(40代 女性)

何事もあきらめない赤井さんはやっぱり恰好いい!
親子で作った映画に感動しました!
明日から頑張る―!

(30代 女性)

双子の赤ちゃんのお墓参りのお線香を持った手、父親赤井さんの姿、涙が出ました。

(70代 女性)

エンドロール観ながら拍手したいなぁ…と思ったら、皆さんも同じ気持ちだったのですね😍
映画観て拍手したくなったの…生まれて初めてです。
ホント素晴らしかった
ありがとう❕❕😭

(50代 女性)

まだ、涙があふれてきます。私、これから挑戦していくことがあるのです。
この映画をお守りに頑張ります。

(20代 女性)

ボクシングの試合のハイライトの切り取り方、音の使い方の躍動感がすごかった。

(10代 男性)

俳優として何度もご一緒させて頂いてますが、ボクサー時代の赤井さんは、また輝くように魅力的でこの姿を再構築して映画に残したいと思った監督の気持ちが良くわかります。
構成も素晴らしいです。また、試合中のエディ・タウンゼントさんの声、芸能レポーターの人の声など、エンディングまで惹き込まれました。
ぜひロングランとなって一人でも多くの方に見て頂きたいです。

(俳優 益岡徹さん)

赤井さんは、昔も今も、まさに愛すべき「ごんたくれ」です。

(脚本家 小松江里子さん)

CREDIT