ケイト・ウィンスレットが語る、今この映画を作る意義

 ケイトは、シアーシャとの親密なシーンを撮影している時に興味深い発見があったと語る。「前にも、こういったシーンを撮影したけれど、そのほとんどの相手役は男性だった。男性相手だと、おのずと、ある力関係が働くことに気付いたの。それは、男性が舵を取りシーンを先導してくれるから、私は女性としてそれに身を任せるだけ、と思いがちということ。それはそれで問題なかったし、違和感もなかったけれど、シアーシャと完全に対等になった瞬間に“なぜもっと前に気付かなかったんだろう”って頭にきた。なぜ男性の共演者に対して自分が対等だと思わなかったのか。それは、社会の現実だからだと思う。私はいつも、両方の足をしっかりと地につけて自分の意思を表現してきたし、それを誇らしく思うけど、まだ出発地点に立ったに過ぎない。」
 今日、いまだかつてないほど、女性が他の女性に関心を持っている。見た目や気分ではなく、女性自身が持つ「声」に関心を持っている。今回メアリー・アニングの物語を紡ぐ意義について、ケイトは続ける。「長い間、女性は批判の対象だったし、今でもそれは続いている。だからこそ、歴史に名を刻んだ偉大な女性の存在が大事。今、女性の歴史は変わろうとしている。この上なく素晴らしい傾向だと思う。仕事でも男性と対等になってきた。メアリー・アニングのような存在がいるからこそ、私たち女性は自分の声に従おうという気になるの。メアリーは従順なタイプではないし、誰かに支配されることもない。自分の存在を否定することも一切ない。女性みんなが彼女のような側面を持つべきだと思う。今まで経験したことがないほど、役からインスピレーションを貰った。この業界に入って、26年も経つというのにね。」