アンヌ役のオーディションで、アナマリア・ヴァルトロメイを選んだ理由についてディヴァン監督は、「アンヌ役にふさわしい体格と透けるような美しい肌、そして神秘的で力強い内面に魅了されました」と語る。
アンヌという人物をディヴァン監督は、「彼女には世界を相手にする準備ができている。地に足を着け、まっすぐ前を見つめ、反逆者としての地位と、社会から重荷を背負わされることの意味を、受け入れなければならないからです」と分析する。続けてディヴァン監督は、「私の映画は、愛ではなく欲望について描いています。この映画のもう一つの大きな主題は、私にとっても非常に重要なものである官能的な快楽です。アンヌは暗黙のうちに、快楽を得る権利のためにも戦っています。女性の快楽は、自分の気持ちの中だけに留めておけば許されるという考え方が、私は嫌いです。その意味で、アンヌの物語には現代的で喜びに満ちたエネルギーがあります」と説明する。
そんなアンヌというキャラクターを定義するために、ディヴァン監督は、アナマリアに「アンヌは戦争に向かう兵士だ」と繰り返し語ったという。ディヴァン監督のその言葉を、撮影中に何度も思い出したアナマリアは、「途中で味方を失って自分も倒れてしまうが、蹴られても立ち上がり、限りない意志の力で毅然と進み続ける姿をイメージして演じました」と振り返る。
また、アナマリアは、原作の文体から刺激を受けたと語る。「生々しく飾り気がなく非常に正確で、現実を直視しています。主人公が自分の欲望を隠さず、自らの責任を完全に受け入れようとしていることが伝わってきました。また、痛みなど肉体的な感覚を理解する上でも、小説は大きなインスピレーションを与えてくれました」
そんなアナマリアをディヴァン監督は、「アナマリアは、アンヌが必要とする鎧を賢く作り上げてくれました。彼女は最小限の手段で雄弁な演技ができる、すぐれた俳優です」と讃える。