映画のもう一人のキャラクターとしての車:メドゥーサ

本映画はほぼ車中の中で話が展開していく。画面に一番登場するのは家族を乗せた新車、メドゥーサだ。現場ではこの車に最初から最後までストーリーを合わせなければならなかった。翌日に撮影するシーンの準備をする老女優のように、メカニックや車のメーカー、メデューサのためだけに呼ばれたエンジニアなどの大勢のスタッフが日々この物言わぬキャラクターの為に時間を費やした。メドゥーサの一番大変だった撮影シーンは、トムがダッシュボードを引き抜くシーンだと監督は語る。「映画の中ではメデューサは暴走しているのでずっと走り続けないといけなかった。でも実際には引き抜いたら車が止まってしまうケーブルがあったんだ。大きな賭けだったよ。車が演技を続けるために、トムがいくつかのケーブルに触らないようにしながら足で蹴らなければならなかったなんて、恐ろしいことだ。まさにメデューサは俳優、いや老女優だ。」