危険なスタントにも果敢に挑戦した出演者たち

実際の速度で走りながら撮影することを知らされた俳優陣は誰一人として嫌がらずむしろこの挑戦を喜びさえしていた。主演のトム・コックスを演じたジョゼ・ガルシアは語る。「この撮影をグリーンバックでやるのなら、がっかりしただろうね。しばしばコメディでは、要求が大きくて多すぎるという問題があって、出来っこないと諦める事が多い。でも監督は技術的に完璧を目指して自らハードルをあげたんだ。もしもこの映画を他の誰かと撮るんだったら、私は引き受けていなかったろうね。」実際の現場での撮影は俳優陣にも刺激になっていた。空気を読めないやっかいな叔父・ベン役のアンドレ・デュソリエは語る。「実はとてもわくわくしていた。この映画では、実際に車の中での撮影だった為、強烈なリアリティに直面したからこそ出来る演技というのがあったよ。ただ、正直なところ私は「どうやってやるんだ? どうやったらできるんだ?」って思っていた(笑)初日は車の中でのコメディーシーンだったんだが、メデューサのスピードが速すぎて、事故ばかり起こしてほんとに肉体勝負だったよ(笑)。時折「俺は今アクション映画の撮影現場にいるのか?」と思ったくらいだ。ただ私の知る限り、この種の映画は未だかつて見たことがない。少なくともこのように制作された映画はね。」 この映画が初長編映画出演、初スタントになったというジュリア役のカロリーヌ・ヴィニョは笑顔でこう答えた「脚本を一気に読んで、読みながら大笑いしたわ。読み終わったとき、人生で初めてこう思ったの。「ぜひこれを演じたい」って。ただ実際の速度で走る車の中で演じるのはとてもハードだったわ。でも監督もアンドレもジョゼもとても素敵な方々で私に手を差し伸べ、自信を持たせてくれたわ。ただ毎日160㎞の車の中にいたのでいつの間にかこのスピードが日常の一部になっていたわね(笑)」