ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男

トロント国際映画祭2017 オープニング作品 観客賞受賞
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人生のすべてを一打に叩き込め。
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1980年、ウィンブルドン決勝戦。テニス史に刻まれる伝説の試合。そこには、誰も知らない《感動のドラマ》があった。
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INTRODUCTION

1980年、歴史に刻まれたウィンブルドン決勝戦美しき王者ボルグVS悪童マッケンローその闘いは、二人が出会う前から始まっていた──

かつて、まるでハリウッドスターのような人気を誇るテニス選手がいた。1976年に20歳の若さで、テニスの聖地ウィンブルドンで初優勝を果たし、その彫刻のように美しいヴィジュアルと神がかったプレイで、テニスに興味のなかった人々さえも虜にしたビヨン・ボルグだ。それからも快進撃は続き、ウィンブルドンで4連覇を達成したボルグは、コンピューターのように冷静沈着なその立ち居振る舞いから“氷の男”と呼ばれ、絶対王者として君臨していた。
そんなボルグの5連覇を阻止するべく現れたのが、類稀なる才能を持ちながら、納得のいかない判定に怒り狂って審判に野犬の如くかみつき、“悪童”とバッシングされたジョン・マッケンローだ。
1980年、エレガントなプリンスとワイルドな野生児が、ウィンブルドン決勝戦でぶつかり合った。彼らが自らの人生のすべてを注ぎ込んだ3時間55分の名勝負と、そこに至るまでに少年時代から精神と肉体を極限にまで鍛えてきた驚愕の道のりの映画化が実現した。

対極の二人が限界のその先に見た、神さえも知らない景色カリスマを蘇らせた入魂の演技で放つ興奮と感動の実話

ボルグに扮するのは、日本でもスマッシュヒットを記録した『ストックホルムでワルツを』のスベリル・グドナソン。スウェーデン出身の今最も注目されている俳優の一人で、『ドラゴン・タトゥーの女』シリーズの話題の最新作『蜘蛛の巣を払う女』にも出演している。“マシーン”と呼ばれた男が、その冷たく固い鎧の下に秘めた、周りからは理解されない孤高の存在であるがゆえの怒りと悲しみ、高みを目指すことへの飽くなき情熱を体現した。
マッケンローには、世界的大ヒットシリーズ『トランスフォーマー』の主演で人気を獲得し、近年では『フューリー』や『ニンフォマニアック』で演技派としても高い評価を得ているシャイア・ラブーフ。感情をコントロールできないまま大人になってしまったけれど、尊敬する父親に認められたい健気な少年が、今も心の奥に住む男の切なさまでも演じきった。
正反対のキャラクターの二人が、闘いを通じて共に限界のその先へとたどり着き、唯一無二の絆を結ぶ瞬間には、激しく心を揺さぶられずにはいられない。二人のカリスマの若き日々を蘇らせた入魂の演技は、世界中の映画祭で“最高のハマリ役”と絶賛されている。
また、貧しい家庭に育ち、すぐに激高する性格だったという意外なボルグの少年時代を、ボルグ本人の息子のレオ・ボルグが演じている。そんな彼の才能を見出し、燃え上がる激情を最高のプレイに変える術を教えたコーチには、『アベンジャーズ』シリーズから『マンマ・ミーア!』まで、幅広い役柄を演じてきたスウェーデンの名優、ステラン・スカルスガルド。
監督は、衝撃の戦場ドキュメンタリー映画『アルマジロ』で、第63回カンヌ国際映画祭批評家週間グランプリを受賞したヤヌス・メッツ。ハンディカムやステディカムカメラを駆使して縦横無尽の角度から試合シーンを捉え、臨場感が炸裂する白熱のエンタテインメントを完成させた。
遂に開幕する決勝戦。負ければ一瞬ですべてを失うプレッシャー。1ミリの狂いも許さない集中力。頂点に立つ者と追いかける者の孤独と葛藤。生きるか死ぬかの鬼気迫る闘いの表と裏に迫る、熱狂と興奮の最高潮に、やがて押し寄せる感動の実話。

1980年、歴史に刻まれたウィンブルドン決勝戦美しき王者ボルグVS悪童マッケンローその闘いは、二人が出会う前から始まっていた──

かつて、まるでハリウッドスターのような人気を誇るテニス選手がいた。1976年に20歳の若さで、テニスの聖地ウィンブルドンで初優勝を果たし、その彫刻のように美しいヴィジュアルと神がかったプレイで、テニスに興味のなかった人々さえも虜にしたビヨン・ボルグだ。それからも快進撃は続き、ウィンブルドンで4連覇を達成したボルグは、コンピューターのように冷静沈着なその立ち居振る舞いから“氷の男”と呼ばれ、絶対王者として君臨していた。
そんなボルグの5連覇を阻止するべく現れたのが、類稀なる才能を持ちながら、納得のいかない判定に怒り狂って審判に野犬の如くかみつき、“悪童”とバッシングされたジョン・マッケンローだ。
1980年、エレガントなプリンスとワイルドな野生児が、ウィンブルドン決勝戦でぶつかり合った。彼らが自らの人生のすべてを注ぎ込んだ3時間55分の名勝負と、そこに至るまでに少年時代から精神と肉体を極限にまで鍛えてきた驚愕の道のりの映画化が実現した。

対極の二人が限界のその先に見た、神さえも知らない景色カリスマを蘇らせた入魂の演技で放つ興奮と感動の実話

ボルグに扮するのは、日本でもスマッシュヒットを記録した『ストックホルムでワルツを』のスベリル・グドナソン。スウェーデン出身の今最も注目されている俳優の一人で、『ドラゴン・タトゥーの女』シリーズの話題の最新作『蜘蛛の巣を払う女』にも出演している。“マシーン”と呼ばれた男が、その冷たく固い鎧の下に秘めた、周りからは理解されない孤高の存在であるがゆえの怒りと悲しみ、高みを目指すことへの飽くなき情熱を体現した。
マッケンローには、世界的大ヒットシリーズ『トランスフォーマー』の主演で人気を獲得し、近年では『フューリー』や『ニンフォマニアック』で演技派としても高い評価を得ているシャイア・ラブーフ。感情をコントロールできないまま大人になってしまったけれど、尊敬する父親に認められたい健気な少年が、今も心の奥に住む男の切なさまでも演じきった。
正反対のキャラクターの二人が、闘いを通じて共に限界のその先へとたどり着き、唯一無二の絆を結ぶ瞬間には、激しく心を揺さぶられずにはいられない。二人のカリスマの若き日々を蘇らせた入魂の演技は、世界中の映画祭で“最高のハマリ役”と絶賛されている。
また、貧しい家庭に育ち、すぐに激高する性格だったという意外なボルグの少年時代を、ボルグ本人の息子のレオ・ボルグが演じている。そんな彼の才能を見出し、燃え上がる激情を最高のプレイに変える術を教えたコーチには、『アベンジャーズ』シリーズから『マンマ・ミーア!』まで、幅広い役柄を演じてきたスウェーデンの名優、ステラン・スカルスガルド。
監督は、衝撃の戦場ドキュメンタリー映画『アルマジロ』で、第63回カンヌ国際映画祭批評家週間グランプリを受賞したヤヌス・メッツ。ハンディカムやステディカムカメラを駆使して縦横無尽の角度から試合シーンを捉え、臨場感が炸裂する白熱のエンタテインメントを完成させた。
遂に開幕する決勝戦。負ければ一瞬ですべてを失うプレッシャー。1ミリの狂いも許さない集中力。頂点に立つ者と追いかける者の孤独と葛藤。生きるか死ぬかの鬼気迫る闘いの表と裏に迫る、熱狂と興奮の最高潮に、やがて押し寄せる感動の実話。

STORY

北欧の氷の男と、NYの炎の男─

どこへ行ってもマスコミとファンに追いかけられ、片時も心が休まらない男がいる。彼の名はビヨン・ボルグ(スベリル・グドナソン)、世界ランク1位のテニスプレイヤーだ。1980年、24歳のボルグは、アスリート人生最大のプレッシャーと向き合っていた。まもなく始まるウィンブルドンに、歴史的記録となる5連覇がかかっているのだ。いつも冷静沈着で、「氷の男」と呼ばれるボルグの真の葛藤を知るのは、コーチのレナート(ステラン・スカルスガルド)と、婚約者のマリアナ(ツヴァ・ノヴォトニー)だけだった。
そんなボルグのライバルとして現れたのが、「アル・カポネ以来、最悪のアメリカの顔」「恥を知れ、悪ガキ」などと、メディアから激しいバッシングを受けているジョン・マッケンロー(シャイア・ラブーフ)だ。世界ランク第2位を誇りながら、納得できない判定に食い下がり、ブーイングを放つ観衆にも容赦ない罵声で反撃する男だ。
モナコの自宅から、マリアナと共にウィンブルドンへと乗り込むボルグ。迎える車、泊まるホテル、その部屋のタオル1枚に至るまで、ボルグの指示で毎年全く同じ物が用意されていた。さらに、レナートがガットを張り直した50本のラケットのテンションと音を1本ずつ丹念にチェックするのが、ボルグの眠る前の日課だった。
レナートとボルグの出会いは、ボルグが少年の頃に遡る。ボルグは故国スウェーデンのクラブで頭角を現していたが、すぐにキレる性格だった。家が貧しかったこともあって、テニス選手にふさわしくないと退会を迫られていた時、国の代表監督のレナートに才能を見込まれたのだ。

いよいよ幕を開ける、宿命のウィンブルドン─

1回戦で、格下の相手に苦戦するボルグ。勝利者インタビューで淡々と「彼は強かった」と語るボルグをホテルのロビーのTVで見ていたマッケンローは、「何度もあんなふうになろうとした。だが無理だ」と傍らの選手に語る。マッケンローにとって、3歳年上のボルグはずっと憧れの存在だった。
一方、ボルグもマッケンローの試合をTVで観戦する。審判にうるさい鳩を「何とかしろ」とムチャを言うマッケンローに、ブーイングを飛ばす観衆。そんな傍若無人なマッケンローに、ボルグはかつての自分を見ていた。
3回戦が雨で中断した上で再開し、ボルグのストレスは頂点に達する。試合後、ボルグは唯一感情をぶつけられる二人、すなわちレナートにクビを宣告し、マリアナを部屋から追い出す。コートではいつも冷静でいられるのは、レナートの教えのおかげだった。沸き立つ怒りや恐れを1打1打に叩きこむと誓った結果、ボルグは1974年に全仏オープンで、1976年にはウィンブルドンで、史上最年少での優勝を飾り、熱狂的な人気を獲得したのだ。

ついに始まる決勝戦。生死をかける者たちの闘いと共鳴─

自慢の父に褒められたい──それが、マッケンローの幼い頃からのモチベーションだった。マッケンローは、弁護士の仕事で多忙な父が駆け付けてくれた準決勝を勝ち抜くが、試合中の暴言をめぐり記者会見でつるし上げられる。だが、マッケンローには信念があった。審判にも真剣勝負を求めているのだ。「試合には、すべてを賭ける。何もかも出し尽くす。お前らにはわからない」と吐き捨てて席を立つマッケンロー。
同じく準決勝を制したボルグは、シャワー室で倒れるほどのストレスに襲われるが、レナートとの絆を取り戻して立ち直る。「この日のために、すべてを捧げてきた」と、決意を新たにするボルグ。
ついに、世界中が見守るなか、どんな天才脚本家にも書けはしない、人智を超えた決勝戦が始まる─

PRODUCTION NOTES

COLUMN

テニス史上、最もメディアを賑わせたライバルたち、ビヨン・ボルグvsジョン・マッケンロー。コート上では決して感情を表に出さず、“氷の男”と呼ばれたボルグと、彼をランキングトップの座から引き摺り落とそうとした“悪童”、マッケンローの対決ほど、テニスファンを熱くさせた試合はなかった。
だが果たして、2人はコート上のイメージ通り、その性格も正反対だったのだろうか? 語り継がれる1980年のウィンブルドン決勝戦に標準を合わせ、そこに向かってシフトする実録ドラマは、まず、各々が種類の違うプレッシャーと格闘する姿にフォーカスする。
その時、ボルグ(演じるのは本物より若干2枚目のスベリル・グドナソン)はどうだったか。大会5連覇のプレッシャーからか、フィアンセのマリアナから指摘されるまで、時間の感覚が麻痺していることに気づかない。5連覇しなければ忘れ去られるのではないかという不安に脅えている。そんなボルグの心境を物語るのが、まるでイメージ映像のように挿入されるモナコの自宅アパートのベランダに佇む彼が、遙か眼下のプール目がけてダイブしかけるショットだ。まさに、死ぬか生きるかの、王者のみが知る常態的地獄。
一方、マッケンロー(悪童役がハマり過ぎて怖いシャイア・ラブーフ)はどうだったか。ボルグを脅かす存在ながら、線審のジャッジに度々ぶち切れ、4文字言葉を連発して観客からブーイングを浴びている。母国メディアから“アル・カポネ以来の最悪のアメリカ人”とまで揶揄される。まして、待ち受けるのは伝統を重んじるテニスの聖地、ウィンブルドンである。まさに、若い挑戦者のみが味わう不安と屈辱が相半ばする地獄。
時間軸を前後させながら進むドラマは、ここに至るまでの経緯を詳らかにすることで、単調になりがちな伝記映画から距離を置く。特に、ボルグの若き日に注目したい。ジュニア時代、類い稀なテニスの才能に恵まれながら、すぐに激高する癖があり、6ヶ月の出場停止処分を受けたこともあったというボルグ。そんな彼に限りない可能性を見出したのが、後にコーチに就任するベルゲリンだった。ベルゲリンと共に歩んだ時間は、ボルグにとって短気を封印する圧力を集中力に転化する作業の積み重ねだったのだ。正反対だと言われるボルグとマッケンローだが、怒りの表現手段が正反対なだけで、実は似た者同士だったという事実。そこを押さえた上で見ると、クライマックスに用意された3時間55分の全英ファイナルは、さらに興奮度が増す。
第1セットは6ー1でマッケンロー。直後、ボルグが劣勢を巻き返し、第2、第3セットを連取。ドラマは第4セットに待っていた。互いに譲らずタイブレークは22分にも及び、最後、マッケンローのフォアハンドリターンをドロップショットで返球したボルグのボールがネットに掛かり、試合は最終セットへ。しかし、周囲から見れば痛恨のドロップショットを、自ら選択した挑戦の結果とポジティブにとらえたボルグは、5セット目を奪取して見事5連覇を達成する。その時、彼は努力して身に付けた冷静さを武器に、再び、地獄から天国へと駆け上がったのだ。
試合後、ボルグとマッケンローはお互いを称え、相通じる感情を秘かに確認し合ったに違いない。1983年、ボルグはツアーの過密スケジュールに抗議して26歳の若さで引退。その時、マッケンローは「ボルグほどの選手がラケットを置くのだから、今のツアーシステムは間違っている」と援護のコメントを発表。現在活躍するトップ選手たちの多くが怪我に苦しんでいるのはご存知だろう。この作品は、テニス選手が猛スピードで消費される人気商品になる前の、ある意味まだ平和な時代へと我々を巻き戻す、懐古的実録エンタテインメントなのである。

CAST

STAFF