リアルタイムで試合に 感銘を受けた監督が映画化

1974年生まれのヤヌス・メッツ監督は、1980年にはまだ子供であったにもかかわらず、ビヨン・ボルグとジョン・マッケンローの伝説の試合を、はっきりと覚えていた。「1980年のウィンブルドンの決勝戦を、家族みんなで待ちわびていた。まるでセント・ポール大聖堂のクリスマスミサのようにね。もちろん試合の内容がわかっていたわけではないが、それでもどこか神聖な空気感が漂っていたことを覚えている。今なら、この二人の闘いの意味がよくわかる」と語るメッツは、本作の監督を喜んで引き受けた。
当時の二人の闘いを、メッツ監督はこう解説する。「二人の青年が、頂点を目指して闘った。己の存在を証明し、その意義を示し、そして何者かになるために。スポーツ史に残る熾烈なライバル関係にあったこの二人は、結局のところ自分自身と、自らの心が作り出した悪魔と闘ったんだ」  また、二人のキャラクターについてはこう分析する。「ボルグとマッケンローの二人とも、自身を限界まで追い込み、さらに限界を超える能力を備えていた。これは偉大な成功者に共通する特徴だと思う。世間からは対称的な存在として見られていた二人だが、等しくこの特徴を持っていた上に、互いにそれを認識していた。人生のすべてをテニスに賭けているかのようにプレーしていた二人。ストーリーが展開するにつれ、そんな孤高の存在だった彼らが、どのようにして互いを理解し、友情を育んでいったのかが明らかになる」