マッケンローに自分との共通点を見た シャイア・ラブーフ

一方のマッケンロー役は、シャイア・ラブーフに依頼された。ラブーフは、マッケンローの人となりをこう分析する。「彼は巨匠だよ。型破りで、我が道を行く人だ。目的を持って生きていて、他者とのコミュニケーションにもその目的を利用する。偉大な芸術家や音楽家と同じで、完全に取り憑かれている。まるでモーツァルトだね」
そんなラブーフがオファーを引き受けた一番の理由は、メッツ監督と仕事をしたかったからだと振り返る。「マッケンローには興味があったけれど、コメディスタイルの派手なキャラクター設定なら、上手くいかないだろうと思っていた。でも、監督にヤヌスの名前が挙がっていて、それなら大丈夫だと思った。ヤヌスのセンスやスタイルは知っている。脚本を読んで、ヤヌスが本気だとわかったから、即決したね」
グドナソンとは違って、ラブーフはマッケンローに多くの共通点を見出したと語る。「マッケンローのすべてに親しみを感じる。理解できるんだ。彼は太陽に要求を突きつけた男だ。オレがちゃんとやろうっていうんだから、お前もそうしないと許さんぞ、みたいなね。大騒ぎをしている試合がたくさんあるけれど、彼は完璧を強く求める男なんだ。自分はもちろん、周りのみんなの完璧さもね。彼は理由もなく叫んだりすることはなかった。不当な扱いを受けたからだ。つまり、正義の叫びだ。マッケンローは理想を追求する男だ。そんな性格を背負って生きるのは、簡単じゃない」
そのためラブーフは、「叫び、怒り、激情にリアルに身を任せることが必要だった」と振り返る。「実在の人物になることは、ただのモノマネになってしまう可能性と隣り合わせだと自覚しながらね」