フランク、ジャッキー、レオの3人を聴覚に障がいのある俳優が演じることは、ヘダーが当初から主張していたことだ。ヘダーは、「耳の聞こえない人の役があるのに、耳の聞こえない優秀な役者を起用しないというのは考えられなかった」と語る。
ルビーの母親ジャッキー役には、『愛は静けさの中に』でアカデミー賞®を受賞したマーリー・マトリンが抜擢された。ヘダーにとって彼女は、インスピレーションの貴重な源であると共に、アドバイスをくれる人物となった。
フランクとレオの役をキャスティングするために、ヘダーは聴覚に障がいのある人たちの演劇コミュニティに注目した。フランク役に選ばれたトロイ・コッツァーは、「僕が17歳の時、初めて耳の聞こえない役者が出演した映画を観た。マーリー・マトリン主演の『愛は静けさの中に』で、いつか自分も映画の仕事が出来るんじゃないかと希望を与えてくれた。そのマーリーと夫婦を演じるなんて運命的だね。信じられないくらい光栄だ」と感慨深く語る。
レオ役のダニエル・デュラントは、デフ・ウェスト・シアターでコッツァーと仕事をしたことがあり、マトリンとはTVシリーズで共演していた。デュラントは、「まるで自分の本当の両親のように感じた」と語る。