音楽のマリウス・デ・ヴリーズは、「耳が聞こえない人々の物語で音楽を使うということの意味を慎重に考え、静寂が音楽にとってどれだけ重要かに気づいた」と語る。
デ・ヴリーズと音楽プロデューサーのニック・バクスターは、すべての台詞が完全にASLの形で行われるシーンに興味を引かれ、そうしたシーンには音を詰め込みすぎず、ASLが静寂の中で生きるように気を配った。デ・ヴリーズは、「私たちが最大限に注意したのは、音楽で感情を導こうとせず、あくまでも支えるということだ。ごく些細な身振りに大きな意味があるとわかったので、本編の序盤に音楽は全く入れていない。その後、かすかに奏でる深みのある楽曲が流れ、物語が進むにつれて広がりを見せる」と説明する。
音楽は語り口ととても深く絡み合っているので、ルビーというキャラクターの成長に合わせた曲選びが重要だった。バクスターは、「心から本物だと感じられ、型を破るアーティストの曲を見つけることが大切だった。ルビーの旅路の大半は、自分の声を見つけることにまつわるからね」と語る。
その結果、父親がルビーの才能に気づいて心を通わせることになる曲には、タミー・テレルとマーヴィン・ゲイが、1968年にリリースしたソウルの定番「You’re All I Need To Get By」が選ばれた。さらに、ルビーがバークリーでの入試で歌う曲は、フォークのアイコン、ジョニ・ミッチェルの力強いバラード「青春の光と影」が選曲された。ジョーンズは、この曲を歌声とASLの両方において感動を誘う表現力で披露する。彼女は徹底した歌とASLのレッスンを受け、見事にそれを融合させたのだ。ウェイルズは、「彼女はフランス語を話しながら、同時にスペイン語を書くように困難なことを自然に成し遂げた」と称賛する。
コッツァーは、本作が考えるきっかけになることを望むと語る。「この映画を観て、耳の聞こえない人と聞こえる人が一緒になって笑って、同じ感情を経験するのは素晴らしいことだ」
ヘダーが付け加える。「語り役としての私の最初の目標は、皆さんをこの物語に引き込むこと。この体験を持ち帰り、耳の聞こえない人たちが手話を使って会話しているのを見かけたら、もう自分とは無縁だと思わないで」
ルスレが締めくくる。「私たちの望みは、自分とは異なる人たちにも結びつきを感じ、もっと知りたいと好奇心を持ってくれること。それにもちろん、楽しんでくれることも願うよ!」