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テレビ東京 大森時生プロデューサーをトークゲストに迎え、PRESS HORROR試写会実施!

大森時生さんといえば、“不気味”なフェイクドキュメンタリーで知られ、新作を発表する毎にファンを増やし続けている新進気鋭のテレビ東京のプロデューサー。今夏開催されたフィクションの展覧会「行方不明展」が7万人を動員するなど映像以外の分野でも注目を集め、“ホラー”界からの信頼も厚い。
『悪魔と夜ふかし』は、大森 P の「このテープもってないですか?」や「イシナガキクエを探しています」と同じく、ファウンド・フッテージ・ホラー(“怪異に見舞われた撮影者が残した映像”の体裁をとるホラー)であり、映画の舞台が大森Pの職場である“テレビ番組のスタジオ”ということで、本作を語るに、これ以上ないほどのベストなゲストとしてお越しいただき、PRESS HORRORの西川亮編集長とトークショーを実施致しました。

テレビ東京 大森時生プロデューサーをトークゲストに迎え、PRESS HORROR試写会実施!

▼以下、イベントレポート

公開を待ち侘びていたファンで満席の試写室に、大森プロデューサーが登場。
先日まで開催され7万人を超える動員を記録し大盛況だった『行方不明展』や今春話題になった「イシナガキクエを探しています」等、大森Pの手掛ける作品は、、といった本作と同じジャンルということで、まずはファウンド・フッテージ、フェイクドキュメンタリーの魅力についてトーク。「1番は、現実世界と地続きに感じられるということ。見終わったあとも終わっていない感覚が残り、現実と混同しているわけではないけど、フィクションとして、現実の虚構の淡相に居続けることで、見終わった時にふと不安な気持ちになる。ホラー映画は、観終わったら、終結したという感覚になるけど、フェイクドキュメンタリーの場合は、それがないというのが独特な感覚でそれが好きなところ。」と語り、ジャンルを代表する第一人者ならではの見識に、観客も深く頷きながらその話を食い入るように聞いていた。
そして映画の話に。まずは感想を聞くと「率直にめちゃくちゃ面白い。ちゃんと観客を隙間なく楽しませようとする感覚のある映画だと思った。」とストレートにべた褒め。さらにファウンド・フッテージものと言っても、これまでにない映画であると解説。「ホラー映画では、ファウンド・フッテージの手法を取り入れたとしてもそれはフェイクドキュメンタリーではなく、ちゃんと完成された1本の映画として作られる。最近のファウンド・フッテージものとして人気の『呪詛』(22)は、1つの大きな物語があってその中にドライブレコーダーや監視カメラの映像=ファウンド・フッテージがポイントで差し込まれ、ファウンド・フッテージは、よりフィクションへの没入感を高め、ドライブさせるものとして活用されていたが『悪魔と夜ふかし』はその点が逆なのが特徴的。ファウンド・フッテージが、映画の8~9割の時間を占めていて、それ以外のCMの時間やラストの物語が、従来のいうファウンド・フッテージのような立ち位置で差し込まれた構成になっている。この逆転している構図を意外と見たみたことがなくて、これは新しい。」と、一般的にイメージされるファウンド・フッテージものとは全く違う映画であると語り観客を唸らせる。
続けて「ファウンド・フッテージものの弱点として、監視カメラやスマホ等でたまたま撮られていた映像は、点としての迫力、1分2分なら迫力はあるけど、さすがに 30 分は見られない。でもテレビ局にある素材は、誰かを楽しませる為に作られ編集された状況で保存されているということがあり得るファウンド・フッテージ。それを倉庫で見つけた、という手法でつくることができるのはテレビ局ならではであり、「このテープもってないですか?」はまさにその手法でつくったし、この手法を極めたのが『悪魔と夜ふかし』」だと絶賛。
また、実際にテレビの制作現場で働いているテレビマンとしての視点では、(この映画は)「すごいリアルだと思った。やっぱり視聴率は気になる。あと、テレビの面白さは何がなんでも放送するを止めないことだと思っていて、何か事が起こっても撮り続ける、ショーは止まらないという要素がよく出ていた」と語る。また個人的に面白かった点として、実は日本のテレビ番組では放送に関するガイドラインで、渦巻きは画面の何割以上を占めてはいけないというルールがあり、<注釈*「規則的なパターン模様(縞模様、渦巻き模様、同心円模様など)が、画面の大部分を占めることを避ける」ようにと定められている>それが写っていることには驚いた。確かにあの渦巻きの部分で不快になったし、映画としてホラー的な出来事のきかっけにもなっている、とテレビマンならではのトリビアも披露。また、劇中の主人公ジャックのように、あんなに観客を巻きこもうとする危険な放送は実際にはトラブルを起こしたくないからやらないけど、「ジャックの危険をおかしてでも何としてでも(視聴率をとる)という迫力は面白かった。主人公だけど信頼できない語り手になっている面白さがあり、ジャックが不都合な真実を隠して進行したり、悪魔を利用したり、テレビがムーブメントをおこすために暴力的になっているという、テレビ自体への皮肉にもなっている点も興味をそそられた」とのこと。
ちなみに、劇中のテレビ番組「ナイト・オウルズ」に自身の作品に出演してほしいキャラがいたか?と聞かれると、悪魔憑きの少女リリーと即答。「彼女が出てきた時の迫力に心を掴まれたし。悪魔に取り憑かれて、パニックをひきおこすことに納得感のある、そういないタイプの女の子。モキュメンタリーでは、子役、おじいちゃん、おばあちゃんは、諸刃の剣なんだけど、あんな完璧な子供がいるならフェイクドキュメンタリーならやってみたい。登場してきた時のカメラ目線もこわいし、CM中にメイク直してもらっている時に「私可愛い?」と確認するという子どもならではの天然な怖さもあって、不穏で不気味で面白いと思った。」と語った。
本作のようにオカルトショーの生放送をやってみたいか?という質問に「白石晃士監督の架空の心霊バラエティ番組という設定の『日本のこわい夜~特別篇 本当にあった史上最恐ベスト10』という滅茶苦茶面白い、凄すぎる作品があるから、自分は少しずらす。例えば、テレビならではの迫力をフィクションに消化できたらと思うことがある」と答え、テレビ局員ならではの作品作りの姿勢も伺えた。
最後に、これから映画を観る人に向けて、本作のオススメポイントをネタバレ無しでもらった。「エンターテイメントとしてちゃんと楽しんでもらいたいという気持ちが全面に出ているホラー映画で、ホラーが苦手な人も基本的には見れるんじゃないかと思っています。オーストラリアの監督という土地柄もあるかもだけど、爽やかなホラー作品で、絶え間なく面白いことが起こるし、エンタメとして優れたホラーです。アメリカのホラーの影響を受けず、既にある文脈から解き放たれて監督が本当に面白いと感じたものを観客に届けようとしている作品です。」

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