1980年、世界ランク1位のテニスプレイヤー、24歳のビヨン・ボルグはアスリート人生最大のプレッシャーと向き合っていた。まもなく始まるウィンブルドンに、歴史的記録となる5連覇がかかっているのだ。いつも冷静沈着で、「氷の男」と呼ばれるボルグの真の葛藤を知るのは、コーチのレナートと、婚約者のマリアナだけだった。そんなボルグの5連覇を阻止するべく現れたのが、「悪童」としてメディアから激しいバッシングを受けているジョン・マッケンローだ。世界ランク第2位を誇りながら、納得できない判定に食い下がり、ブーイングを放つ観衆にも容赦ない罵声で反撃する男だ。ついに、世界中が見守るなか、人智を超えた決勝戦が始まる──。