本作のアイディアについて
プロデューサーからエマニエル・アルサンが書いた原作を渡されて、読んでみたら楽しめました。女性の一人称で書かれた作品で、ヒロインは対象というより主題なのですが、1974年の映画ではそのように描かれてはいません。私が今作で最初に決めたのは、“エマニュエル”に力を取り戻し、彼女を自身のストーリーの主題にすることでした。だから、本作を74年公開の映画のリメイクとは考えていません。
また、原作の冒頭のエロティシズムに関する長い議論に興味を引かれました。エロティシズムというのは、何を隠し、何を見せるか、ということです。74年の映画は見せることを拡大しようとするものでした。しかし、今の時代はインターネットやポルノがあり、見ようと思えば全てを見ることができます。そういう時代でも、エロティシズムは物語の原動力になるのか?
そう考えて、あえて枠を設けるという異なる試みをしています。隠されたものの方が面白いと感じたので、観客にもいったい何が隠されているのかと積極的に映画に関わってもらい、ストーリーに協力してもらうことで、その緊張感を押し出そうと考えました。