Production Note
プロダクション ノート

監督と主演女優に怯えて、演技を練習したヒュー・グラント
 フリアーズ監督は、メリルの次にヒュー・グラントのもとを訪れ、フローレンスの夫役をオファーする。プロデューサーのクーンは、「重要なのは、シンクレアが人を感動させると同時に、面白さも兼ね備えている点だ。それがこの映画の本質でもある。ヒューが最も得意とするタイプの役だ。」  ヒューが引き受けた理由を説明する。「このところ報道の透明性を訴えるキャンペーンに参加していて、俳優としての活動はあまりしていなかった。だが脚本が素晴らしくて、純粋に面白かった。メリル・ストリープの出演はすでに決まっていたので、すっかりやる気になってしまった。」  「シンクレアになりきるのは実に楽しかった」とヒューは続ける。「でも、あのメリル・ストリープとの共演は震えあがるぐらい恐ろしかった! 彼女を見ていると、鳥肌が立つぐらい感動するよ。レオナルド・ダ・ヴィンチが絵を描くところを見るような感じかな。できないことなんか何一つない。一番衝撃を受けたのは、全部のテイクが以前のものと全く違うことだ。」  「監督のスティーヴンにもちょっと怯えていたね」とヒューは笑う。「賞レースに出るような品のある作品を作るから、僕のバックグラウンドと全く違う。かなり真面目な演技も要求されたし、全てが怖い経験だったよ。メリルが準備できるまでかなり待ったから、1年分ぐらいの練習をした。これまで、こんなに練習した映画はなかったね。」  メリルはヒューとの初共演を「私たちをやる気にさせてくれて、すごく楽しい時間だった」と振り返る。