『君と歩く世界』ジャック・オーディアール監督作 『ゴールデン・リバー』

夢に、目がくらむ。
決して手を組むべきではなかった4人の一攫千金ウェスタンサスペンス
大ヒット公開中!
2019年11月22日(金)ブルーレイ&DVDリリース!
第75回ヴェネチア国際映画祭 銀獅子賞〈監督賞〉受賞!/仏アカデミー賞(第44回セザール賞)〈監督賞・撮影賞・美術賞・音響賞〉受賞!/リュミエール賞〈監督賞・作品賞・撮影賞〉受賞!

度肝を抜かれた! Rolling Stones

  • 一分の隙もない完璧な演技 The Star
  • 欲望が人を変える、サスペンスに掴まれる The Seattle TIMES
  • 思いもよらない展開! BOSTON GLOBE

INTRODUCTION

黄金がつないだまさかの友情─決して手を組むべきではなかった4人­­­­の一攫千金ウェスタン・サスペンス

黄金を見分ける化学式を見つけた化学者
それを奪おうとする権力者に雇われた、殺し屋兄弟と連絡係
からみ合う欲望の果ての目もくらむ結末──

ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞の快挙を幕開けに、フランスで最も重要な仏アカデミー賞(セザール賞)では9部門にノミネートされ監督賞を含む4部門を制し、リュミエール賞では作品賞を始め3部門を獲得。数々の栄えある映画賞で、ウェスタンとサスペンスの融合というかつてない世界観から唯一無二の存在感を放ち、世界各国のメディアからも全く新しい傑作との呼び声の高い話題作が、いよいよ日本でも予測不能の展開で観る者の目をくらませる。

時はゴールドラッシュ、アメリカはオレゴンのとある町に、最強と恐れられる殺し屋兄弟がいた。彼らは一帯を仕切る権力者からの依頼で、仕事仲間の連絡係と共に、黄金を見分ける化学式を発見した化学者を追いかける。だが、黄金に魅せられた4人は、立場を超えて手を結ぶことにする。黄金を元手に暴力や貧富の差のない理想の社会を作りたい化学者、そんな彼の夢に心酔する連絡係、普通の平穏な暮らしに憧れる兄、裏社会でのし上がりたい弟─それぞれの思惑を抱きながら、遂に黄金を手に入れる4人。その時、彼ら自身も知らなかった本当の欲望があふれ出す──。

カンヌ国際映画祭パルム・ドールに輝く名匠が指揮した
ハリウッド史上最強の個性を放つ4人の共演と
最高峰のスタッフによる、すべてが本物の映画

無敵の強さを誇るが、見た目に反してロマンチストで意外にもお人好しの兄イーライには、『シカゴ』でアカデミー賞®にノミネートされたジョン・C・ライリー。野犬のように凶暴で大酒飲みだが、どこか憎めない少年のような愛らしさを湛えた弟チャーリーには、『ザ・マスター』などで3度アカデミー賞®にノミネートされたホアキン・フェニックス。誰も信じられず心を閉ざしていたが、化学者との間に芽生えた初めての友情に生きる喜びを見出す連絡係のモリスには、『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー賞®にノミネートされたジェイク・ギレンホール。他人の心をコントロールするカリスマ性を秘めた化学者には、『ナイトクローラー』でインディペンデント・スピリット賞にノミネートされたリズ・アーメッド。

原作は、イギリスの権威あるブッカー賞の最終候補に残ったパトリック・デウィットの「シスターズ・ブラザーズ」。監督はカンヌ国際映画祭の常連で、『預言者』でグランプリを、『ディーパンの闘い』でパルム・ドールを受賞したジャック・オーディアール。『君と歩く世界』でもセザール賞9部門にノミネートされ4部門に輝くなどフランスが誇る名匠だが、本作で初めてハリウッド俳優を指揮し、ウェスタンという新境地にも挑み、あらためて無限の才能を惜しみなく披露した。

時に不穏な響きで心をざわめかせ、時に哀愁を帯びた音色で魂を鎮める音楽は、『グランド・ブダペスト・ホテル』と『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞®を受賞、今世紀最高峰の音楽家と称えられるアレクサンドル・デスプラ。物語のリアリティを支える衣装は、アカデミー賞®9度ノミネートを誇り、『マリー・アントワネット』などで4度受賞したミレーナ・カノネロ。荒々しくも美しい山々と、男たちのひりひりするような駆け引きを捉えた撮影は、『スプリング・ブレイカーズ』のブノワ・デビエ。

出会うはずのなかった男たちに生まれたまさかの友情を、黄金が狂わせていく──。人間の底なしの欲をあぶりだす心理サスペンス。

STORY

「俺たちはシスターズ兄弟だ」──その言葉に誰もが震えあがる、最強の殺し屋兄弟がいる。1851年、オレゴン。兄の名前はイーライ(ジョン・C・ライリー)、弟はチャーリー(ホアキン・フェニックス)、雇い主はあたり一帯を取り仕切る提督だ。度胸があり提督からの信頼も得ているチャーリーが、リーダーとして仕事を仕切り、兄はそんな弟のワガママをぼやきながらも、身の回りの世話を引き受けていた。

彼らに与えられた新たな仕事は、連絡係のモリス(ジェイク・ギレンホール)が捜し出すウォーム(リズ・アーメッド)という男を始末すること。とりとめのないバカ話をしながら、サンフランシスコへ南下する。兄弟が馬で山を越えていた頃、モリスは南へ数キロ先のマートル・クリークで、ウォームを見つける。時はゴールド・ラッシュ、金脈を求めて群れをなす採掘者の中に、ウォームの姿もあったのだ。

2日後、次の町ウルフ・クリークで、モリスはいきなりウォームから「前に会った?」と声を掛けられ、慌てて「人違いだ」と答える。だが、屈託なくモリスの笑顔を褒める人懐こいウォームに、作戦を変えて昼食をおごると誘う。うまい具合に話は進み、ウォームと一緒にジャクソンビルへ砂金を採りに行くことになったモリスは、シスターズ兄弟に「急がれたし」と手紙を残す。

旅の途中でウォームはモリスに、にわかに信じがたい話を打ち明ける。自分は化学者で、金を見分ける“予言者の薬”を作る化学式を発見したというのだ。だが、ジャクソンビルに到着し、モリスの動きに不信を抱いたウォームが、彼のカバンを探ったことから、モリスの正体と目的がバレてしまう。モリスはウォームを拘束するが、雇い主の目的は化学式を奪うことで彼が化学式を教えるまで兄弟に拷問されるだろうと知って動揺する。

翌朝、モリスはウォームと逃げ出すことを選び、連れ立って出発する二人。道中、ウォームはモリスに、手に入れた金で「野蛮な世界を終わらせ、理想郷を作る計画」について滔々と語る。初めは半信半疑で聞いていたモリスだが、次第に彼の話に引き込まれ、その思想に心酔していく。やがてモリスは、亡き父の遺産を資金に、ウォームの夢に加わることにする。

モリスを信じてメイフィールドまで来た兄弟は、その町に自分の名前をつけた権力者が、ウォームの化学式を奪うべく部下を放ったと聞き、初めてモリスの裏切りを知る。普通の暮らしに憧れていたイーライは、これを機会に引退しようと持ち掛ける。だが、裏社会でトップに立つ野望を抱くチャーリーには論外だった。

サンフランシスコに到着した兄弟は二人の居所を突き止めるが、追っ手を予測していた彼らに捕えられる。やがてメイフィールドの部下も現れ、二人はやむなく兄弟の力を借りて、彼らを撃退するのだった。

ウォームからの提案で、黄金を採るために、手を組むことになる4人。初めは互いに疑心暗鬼だった2組だが、兄弟もまたモリスと同じようにウォームのカリスマ性に魅せられ、奇妙な友情と絆が生まれていく。

だが、いよいよ“薬”を川に流したその時、黄金と一緒にそれぞれの思わぬ欲望が、ギラギラと浮かび上がる──。

CAST

STAFF

ジャック・オーディアール
(監督/脚本)

1952年4月30日生まれ。フランスパリ出身。『プロフェッショナル』 (81)〈未〉で脚本家としてのキャリアをスタート。監督デビュー作『天使が隣で眠る夜』 (94)でセザール賞新人監督賞を受賞以降数々の映画賞に輝き高い評価を受け続けている。『つつましき詐欺師』 (96)〈未〉でカンヌ国際映画祭脚本賞受賞。ヴァンサン・カッセル主演『リード・マイ・リップス 』(01)はセザール賞脚本賞含む3冠に輝き、『真夜中のピアニスト』 (05)は同賞作品賞、監督賞含む8冠に、『預言者』 (09)では9冠となった。『預言者』はカンヌ国際映画祭グランプリも受賞し、アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた。マリオン・コティアール主演『君と歩く世界』 (12)ではゴールデン・グローブ賞外国語映画賞と主演女優賞にノミネートされた。『ディーパンの闘い』 (15)ではカンヌ国際映画祭パルム・ドールに輝いた。

パトリック・デウィット
(原作)

1975年生まれ。カナダバンクーバー出身。皿洗い、バーテンダーなどの職を経て、『みんなバーに帰る』で作家デビュー。2011年発表の『シスターズ・ブラザーズ』はブッカー賞の最終候補作に選出されたほか、カナダで最も権威があるとされる総督文学賞をはじめ四冠を制覇し、日本では各種の年末ミステリベスト10入りを果たした。現在はオレゴン州で妻と息子と暮らす。

シスターズ・ブラザーズ

「シスターズ・ブラザーズ」
パトリック・デウィット/茂木健 訳 創元推理文庫刊

ブッカー賞最終候補作
オレゴン文学賞、ロジャース文芸財団小説賞、総督文学賞、
スティーヴン・リーコック・ユーモア賞受賞作

*第2位『闘うベスト10 2013』
*第4位『このミステリーがすごい!2014年版』海外編
*第5位(新人賞第1位)『ミステリが読みたい!2014年版』海外編
*第10位『週刊文春 2013年ミステリーベスト10』海外編

PRODUCTION NOTES

CAST

  • イーライ・シスターズ:ジョン・C・ライリー
    Eli Sisters: John C. Reilly
  • チャーリー・シスターズ:ホアキン・フェニックス
    Charlie Sisters: Joaquin Phoenix
  • ジョン・モリス:ジェイク・ギレンホール
    John Morris: Jake Gyllenhaal
  • ハーマン・カーミット・ウォーム:リズ・アーメッド
    Hermann Kermit Warm: Riz Ahmed
  • メイフィールド:レベッカ・ルート
    Mayfield: Rebecca Root
  • 酒場の女:アリソン・トルマン
    Girl in Mayfield Saloon: Allison Tolman
  • 提督:ルトガー・ハウアー
    The Commodore: Rutger Hauer
  • ミセス・シスターズ:キャロル・ケイン
    Mrs. Sisters: Carol Kane

STAFF

  • 監督:ジャック・オーディアール
    Director: Jacques Audiard
  • 製作:マイケル・デ・ルカ
    Produced by Michael De Luca
  • アリソン・ディッキー
    Alison Dickey
  • ジョン・C・ライリー
    John C. Reilly
  • 脚本:ジャック・オーディアール&トマ・ビデガン
    Writer: Jacques Audiard & Thomas Bidegain
  • 原作:パトリック・デウィット
    Author: Patrick deWitt
  • 撮影:ブノワ・デビエ, S.B.C.
    Director of Photography: Benoît Debie, S.B.C.
  • 美術:ミシェル・バルテルミー, A.D.C.
    Production Designer: Michel Barthélémy, A.D.C.
  • 編集:ジュリエット・ウェルフラン
    Editor: Juliette Welfling
  • 衣装:ミレーナ・カノネロ
    Costumes by Milena Canonero
  • 音楽:アレクサンドル・デスプラ
    Music by Alexandre Desplat

リズ・アーメッド
(ハーマン・カーミット・ウォーム)

1982年生まれ、イギリス、ロンドン出身。オックスフォード大学卒業後セントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマでも学ぶ。俳優業の他に、ラッパーとしても活躍。さらに作家、プロデューサー、思想家、クリエイターなど活躍の場は多岐にわたり、監督デビューも予定している。俳優としての映画デビューはマイケル・ウィンターボトム監督の『グアンタナモ、僕達が見た真実』 (06)。HBOのTVドラマ「ナイト・オブ・キリング 失われた記憶」(16)で注目され、イスラム系俳優で初めてエミー賞を受賞。ダン・ギルロイ監督でジェイク・ギレンホールと共演した『ナイトクローラー』(14)でインディペンデント・スピリット賞助演男優賞にノミネートされ、一躍人気俳優となる。以降『ジェイソン・ボーン』(16)、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)、『ヴェノム』(18)などの大作の主要な役に続々出演している。

ジョン・C・ライリー
(イーライ・シスターズ)

1965年生まれ、アメリカイリノイ州出身。ドラマ、コメディ、ミュージカルまで幅広く演じる俳優。本作ではプロデューサーも務める。アカデミー賞作品賞を受賞したロブ・マーシャル監督のミュージカル『シカゴ』(02)でロキシーの夫役でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされる。テレンス・マリック監督の『シン・レッド・ライン』(98)、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『マグノリア』(99)、マーティン・スコセッシ監督の『アビエイター』(04)、ロバート・アルトマン監督『今宵、フィッツジェラルド劇場で』(06)など名だたる監督作品に出演。近作ではヒット作『キングコング:髑髏島の巨神』(17)の演技が注目されたり、アニメーション作品『SING/シング』(16)でヒツジのエディ役の声優など話題作に多数出演。最新作には『俺たちホームズ&ワトソン』(未・18)がある。

ホアキン・フェニックス
(チャーリー・シスターズ)

1974年生まれ、プエルトリコ出身。兄は23歳で薬物過剰摂取で亡くなったリヴァー・フェニックス。8歳から演技をはじめ数々のテレビドラマなどに出演。活動休止期間を経てニコール・キッドマンと共演したガス・ヴァン・サント監督の『誘う女』(95)ではじめて主演を演じる。その後キャリアを積み2000年、リドリー・スコット監督でアカデミー作品賞を受賞した『グラディエーター』(00)で演じたラッセル・クロウの敵役で初のアカデミーにノミネートされる。本作でナショナル・ボード・オブ・レビューの助演男優賞を受賞している。ジェームズ・マンゴールド監督作、リース・ウィザースプーン共演の『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』(05)でアカデミー賞主演男優賞にノミネート、本作ではゴールデン・グローブ賞の男優賞(コメディ/ミュージカル部門)を受賞している。ポール・トーマス・アンダーソン監督作『ザ・マスター』(12)でアカデミー賞主演男優賞ノミネート、本作ではヴェネチア国際映画祭とLA批評家協会賞で男優賞を受賞している。 他主な出演作に『サイン』(02)、『her/世界でひとつの彼女 』(13)、『エヴァの告白』(13)、『インヒアレント・ヴァイス』(14)、『教授のおかしな妄想殺人』(15)などがある。

ジェイク・ギレンホール
(ジョン・モリス)

1980年生まれ、アメリカロサンジェルス出身。父親は監督のスティーヴン・ギレンホール、母はプロデューサーであり脚本家のナオミ・フォナー、姉は女優のマギー・ギレンホール。11歳で俳優デビュー、初主演は『遠い空の向こうに』(99)、続く『ドニー・ダーコ』(01)で注目され人気俳優となる。アン・リー監督作ヒース・レジャーと共演した『ブロークバック・マウンテン』(05)でアカデミー賞助演男優賞のノミネーションを受ける。製作も務めリズ・アーメッドと共演した『ナイトクローラー』(14)の怪演が話題となり英国アカデミー賞、放送映画批評家協会賞、インディペンデント・スピリット賞などにノミネートされる。その他主な出演作に『マイ・ブラザー』(09)、『ミッション:8ミニッツ』 (11)、『エンド・オブ・ウォッチ』(12)、『プリズナーズ』(13)、『複製された男』(13)、『サウスポー』(15)、『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(15)、『ノクターナル・アニマルズ』(16)、『ボストン ストロング~ダメな僕だから英雄になれた~ 』(17)。

原作に惚れ込んだ
ライリー自らが映画化権を獲得

2011年、ジョン・C・ライリーと、彼の妻でプロデューサーのアリソン・ディッキーが、パトリック・デウィットの小説「シスターズ・ブラザーズ」の映画化権を獲得する。最初に読んだ時のことをライリーは、「いつもは台本さえ読むのを先送りにしてしまうのに、イーライ・シスターズに共感して24時間で読んでしまった」と語る。

この小説は、名誉あるブッカー賞のフィクション部門の候補になるほど評価が高かった。そしてその時点で、「ハリウッドから電話が殺到した」とディッキーは笑顔で語る。ディッキーとライリーは、この企画を前に進めるために、『ソーシャル・ネットワーク』などでアカデミー賞®ノミネート経験のあるプロデューサー、マイケル・デ・ルカとタッグを組むことにした。

デ・ルカは、「ジョンはアメリカで最も偉大な俳優の一人だ。イーライ・シスターズの役は、まさに彼のために用意されたような役だよ。ジョンがプロデューサーとしても関わることで、この企画がさらに愛おしいものになった」と振り返る。

ウェスタンも他人の企画も初の
オーディアールに監督を依頼

2012年、デ・ルカ、ディッキー、ライリーが参加したトロント国際映画祭で、ジャック・オーディアールが『君と歩く世界』を上映していた。ライリーは、「同世代で、ジャックほど完璧な実績を持っている監督は他にいない。彼ならこの題材を、人間味溢れる物語にすることが可能だと確信していた」と振り返る。

ライリーたちから読んでくれと頼まれた小説に、たちまち夢中になったオーディアールは、ロサンゼルスで再び彼らと会い、その席でパートナーとして一緒に仕事をすることが決定する。

デ・ルカは、「アメリカを舞台とした作品を、外国の監督に託すという考えは理にかなっている。彼らは、文化的な重荷を背負っていないから、新鮮な視点を持ち込んでくることが多い。アン・リーの映画も、そういった理由で成功している」と説明する。さらにライリーが、「ジャックは独自のやり方で仕事をすることに慣れている監督だ。だから、『好きなように作って』と伝えたよ」と明かす。

原作から大きく変更した
兄弟の運命を変える二人の登場人物

脚本は、オーディアールとトマ・ビデガンが共同で執筆した。オーディアールは、原作からの大きな変更点について、「ウォームとモリスというキャラクターを大幅に肉付けした」と説明する。「兄弟が巻き込まれる争いは、意味のあるものでなければならないからだ。一方を理想主義者に、もう一方を渋いダンディな男に設定した」

二人は原作にも登場するが、素朴でおもしろいキャラクターに過ぎない。映画ではシスターズ兄弟の物の考え方や残忍性と対比させるために、より現代的に、よりユートピア的な物の考え方をするキャラクターに設定されている。オーディアールは、「この映画の目的は、ウォームというキャラクターを通して表現される。ウォームが次々に人々をそそのかしていく。脚色の段階で、最も手を加えた部分だ」と解説する。

また、ウォームのキャラクターは、実在の人々からインスピレーションを得ているとオーディアールは説明する。19世紀にヨーロッパからアメリカに移住し、新しい社会を確立しようとした社会主義者の前身と言える人々だ。オーディアールが心血を注いだ重要なこの役は、エミー賞受賞俳優のリズ・アーメッドに託された。

監督のこだわり抜いた
世界観を支えた、撮影、衣装、ロケ地

オーディアールは、新たなコラボレーターとして、撮影監督のブノワ・デビエに声をかけた。彼はデビエのことを、「ブノワは35ミリのフィルムで撮影することに、何よりもこだわっていた。彩度が低く、青の要素が強い現代の主流となっているデジタルではなく、イメージに色を添えることを大切にする数少ない撮影監督だ」と称賛する。

デビエは、プロダクション・デザイナーのミシェル・バルテレミと、室内と屋外のシーン両方で、どのパレットの色を使用するかを話し合った。オーディアールからは、「色味があることは重要だが、あまり強烈でない方がいい」と指示され、結果、ダークだが光が加わるとカラフルになるパレットを使用した。「19世紀の鉄板を使った銀板写真術のイメージが常にあった。赤いベルベットや緑、さらに金などで強調されるような色だ」とオーディアールは説明する。

衣装は、過去に4度もアカデミー賞®に輝いたミレーナ・カノネロが担当し、世界中からアンティークなものをかき集めてきて、参考となる写真や文書と照らし合わせた。

最終的に、スペインやルーマニアが撮影場所として選ばれた。「外の厳しい天候での撮影と現場で生まれた絆が、強い感情を扱う題材とマッチしたわ」とディッキーは振り返る。

フランスの名匠が驚嘆する
ハリウッド随一の個性派俳優たち

ジェイク・ギレンホールがジョン・モリス、ホアキン・フェニックスがチャーリー・シスターズを演じる。1カ月かけて言語学者と一緒にリサーチを行い、自分のセリフに発音の注釈をつけて完璧に準備したギレンホールに、「あとは衣装が必要なだけだった。全く驚いたよ」とオーディアールは感嘆の声を上げる。

さらに、「ホアキンは、今まで会った人の中で最も魅力的な男性だよ」とフェニックスを絶賛するオーディアール。「彼は会うや否や僕に『ジャック、俺はプロの俳優ではないんだ』って言うんだ。彼は8歳からカメラの前で演じてきた人間だから、どう受け止めていいか分からない発言だよね。テイクが終わる度に、今のテイクがどうだったか、どう改善すればいいか、コメントを待っているんだ。もし僕が『よかったよ』と言ったとしても、さらに吟味するんだよ」

ライリーはフェニックスがこの映画に出演するように積極的に働きかけたと語る。「彼がチャーリーでなければならないと思ったんだ。僕は彼のことを俳優としてとても尊敬している。でも、彼とはこの兄弟がどういう兄弟かということについては、一切話し合わなかった。ただ、共に時間を過ごすようになっただけでね。リハーサル期間は、一緒にスペインの丘の上を散歩したりしていたよ。1マイル半くらいあったかな。その間、一言もしゃべらなかった。ただ、お互いの存在を意識し、相手の要求やエネルギーを感じながら、調子を合わせる訓練を行っていたんだ」

ライリーはフェニックスとの共演について、こう語る。「素晴らしかったよ。彼は非常に本能的だから、何かに関してこちらで仮説を立てれば、すぐに反応を返す。その瞬間を受け入れることが大事なんだ。どちらか片方が引っ張っていくわけでもなく、相手に従うこともない。単に自然な流れを見つけ出すというだけ。ホアキンとのその関係が、イーライとチャーリーにも反映された。彼がセットにいない時は、心に穴があいたような気分になったよ」

最後に、デ・ルカがこう締めくくる。「ジャックと俳優たちで、非常に美しい映画を作ったと思うよ」