「俺たちはシスターズ兄弟だ」──その言葉に誰もが震えあがる、最強の殺し屋兄弟がいる。1851年、オレゴン。兄の名前はイーライ(ジョン・C・ライリー)、弟はチャーリー(ホアキン・フェニックス)、雇い主はあたり一帯を取り仕切る提督だ。度胸があり提督からの信頼も得ているチャーリーが、リーダーとして仕事を仕切り、兄はそんな弟のワガママをぼやきながらも、身の回りの世話を引き受けていた。
彼らに与えられた新たな仕事は、連絡係のモリス(ジェイク・ギレンホール)が捜し出すウォーム(リズ・アーメッド)という男を始末すること。とりとめのないバカ話をしながら、サンフランシスコへ南下する。兄弟が馬で山を越えていた頃、モリスは南へ数キロ先のマートル・クリークで、ウォームを見つける。時はゴールド・ラッシュ、金脈を求めて群れをなす採掘者の中に、ウォームの姿もあったのだ。
2日後、次の町ウルフ・クリークで、モリスはいきなりウォームから「前に会った?」と声を掛けられ、慌てて「人違いだ」と答える。だが、屈託なくモリスの笑顔を褒める人懐こいウォームに、作戦を変えて昼食をおごると誘う。うまい具合に話は進み、ウォームと一緒にジャクソンビルへ砂金を採りに行くことになったモリスは、シスターズ兄弟に「急がれたし」と手紙を残す。
旅の途中でウォームはモリスに、にわかに信じがたい話を打ち明ける。自分は化学者で、金を見分ける“予言者の薬”を作る化学式を発見したというのだ。だが、ジャクソンビルに到着し、モリスの動きに不信を抱いたウォームが、彼のカバンを探ったことから、モリスの正体と目的がバレてしまう。モリスはウォームを拘束するが、雇い主の目的は化学式を奪うことで彼が化学式を教えるまで兄弟に拷問されるだろうと知って動揺する。
翌朝、モリスはウォームと逃げ出すことを選び、連れ立って出発する二人。道中、ウォームはモリスに、手に入れた金で「野蛮な世界を終わらせ、理想郷を作る計画」について滔々と語る。初めは半信半疑で聞いていたモリスだが、次第に彼の話に引き込まれ、その思想に心酔していく。やがてモリスは、亡き父の遺産を資金に、ウォームの夢に加わることにする。
モリスを信じてメイフィールドまで来た兄弟は、その町に自分の名前をつけた権力者が、ウォームの化学式を奪うべく部下を放ったと聞き、初めてモリスの裏切りを知る。普通の暮らしに憧れていたイーライは、これを機会に引退しようと持ち掛ける。だが、裏社会でトップに立つ野望を抱くチャーリーには論外だった。
サンフランシスコに到着した兄弟は二人の居所を突き止めるが、追っ手を予測していた彼らに捕えられる。やがてメイフィールドの部下も現れ、二人はやむなく兄弟の力を借りて、彼らを撃退するのだった。
ウォームからの提案で、黄金を採るために、手を組むことになる4人。初めは互いに疑心暗鬼だった2組だが、兄弟もまたモリスと同じようにウォームのカリスマ性に魅せられ、奇妙な友情と絆が生まれていく。
だが、いよいよ“薬”を川に流したその時、黄金と一緒にそれぞれの思わぬ欲望が、ギラギラと浮かび上がる──。