今年2018年は、本作でも描かれている1968年の五月革命からちょうど50年。そんな五月革命について、アザナヴィシウス監督はこう語る。「本作を作るもう一つの魅力は、五月革命に新たな解釈をもたらすことができるってことだ。フランス映画で五月革命はあまり描かれてこなかったから、僕はそこに新たな息吹を与え、五月革命の精神に対する最大級の敬意を表したかった。映画が時に不敬であっても、少々ゴダールをあざけるようなことすらあっても、五月革命を悪く扱うつもりはない。時代錯誤だと非難を受けることもあるだろう。もしくはあの時代に対する筋違いの皮肉を生む危険もある。大衆や若さを動かし、あの表情、スローガンを生んだエネルギーに対する敬意は僕が表すことができる最大の表現なんだ。」
本作中の五月革命をゴダールとして生きたルイ・ガレルはこう言う。「僕にとっては五月革命についての映画に出演するのは実は3度目。ベルナルド・ベルトルッチが『ドリーマーズ』(03)で用いた手法は夢幻的で、僕の父(フィリップ・ガレル)が監督した『恋人たちの失われた革命』(05)は詩的だった。今回アザナヴィシウスが使ったのはドラマ的なドタバタ劇、イタリアスタイルの喜劇の様式なんだ。彼のまなざしは批評的であり温かくもある。ゴダール自身、五月革命と映画について問われてこう答えている。それは喜劇人ジェリー・ルイスのための題材だよ、って。」