心に傷を受けた退役軍人、前科者、元ロデオ道化師、そして短気なアルコール依存症の父親であるジェームズ・ロートにはシャイア・ラブーフ自らが、その過度なほどの欠点と同じくらいに人間性を完全に否定しきれないキャラクターを具現化、この父親に予期せぬ共感を生み出した。
当初、彼はこの役には他の俳優をと考えていた。「僕は“大人になったオーティス”を演じようと思ったけれど、アルマはそれは望まず、演じるなら父親だと言ったんだ」。
そして、演じることで「人生で信じられないほど苦しい時間を映画にできるのは、僕のキャリアの中で最大の成果」と語る。ラブーフ演じたこのキャラクターは、独特のカリスマとユーモアをもらたし、観客を引き込む。
ラブーフの次に出演が決まったのは、真剣で野心溢れる俳優として評判を築いてきたルーカス・ヘッジズだった。ハレルは当初、シャイア・ラブーフに似た俳優をキャスティングして“大人のオーティス”を演じさせようと考えたが、最終的にはそうしないことにした。ハレルは語る。「もしそうしていたら、本物のシャイアをナルシスト的に映し出す映画になったかもしれない。実際、ルーカス・ヘッジズに会うまでは迷っていた。でも彼に会って2分もしないうちに、彼こそすべてに対する答えだとわかったの。」