プロフィール

1974年生まれ、千葉県出身。大学卒業後、いくつかの仕事を経て、制作部として映画制作に携わる。その後、演出部として佐々部清監督、瀧本智行監督らに就く。チーフ助監督を務めた主な作品に、『三本木農業高校、馬術部』(08/佐々部清監督)、『鈍獣』(09/細野ひで晃監督)、『真幸くあらば』(10/御徒町凧監督)、『東京に来たばかり』(13/蔣欽民監督)、『渇き。』(14/中島哲也監督)、『グラスホッパー』(15/瀧本智行監督)、『オーバー・フェンス』(16/山下敦弘監督)など。吉田大八監督作品は、デビュー作『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(07)にセカンド助監督として参加して以降、『クヒオ大佐』(09)、『パーマネント野ばら』(10)、『桐島、部活やめるってよ』(12)、『紙の月』(14)、そして本作まで、すべての作品でチーフ助監督を務めている。

Q&A

本作での脚本上のこだわりを教えてください。
十分に映像的な小説をわざわざ映画化するわけですから、原作を尊重しつつも120分の中で、どれだけ四方八方遠くへ跳べるかを気にしました。 これまでスクリーンで観たことのない状況を、現実味のあるぎりぎりのところでユーモアを交えて描写することで、地球というこの星の批評にまで高められたらと、思ってましたが、はたして……。

甲斐さんにとって吉田監督はどんな存在ですか?
たびたび仕事をご一緒させてもらってますので、この10年間は、間接的に自分の生活費の一部を担ってくれている素敵な存在です(笑)

脚本家として見たキャストの皆さんの印象を教えてください。
黒木役の蔵之介さんの異星人的能面作りや、鷹森役の春田さんが泣き崩れるシーンの泣き声やよだれの垂れ方に、大真面目なユーモアを演じることに対する気魄を感じました。それとミスコン担当としてあらゆる学園祭に行きましたので、栗田役の季節くんの軽佻さ、ミスコンメンバー4人のはかなさは、その後の人生を予測できるほどにリアルに雄弁で、スピンオフを作りたいくらいです(笑)

甲斐さんが映画づくりの喜びを感じる瞬間は?
偶然集められた見ず知らずの大人たちが、様々な思惑をもって1本の映画、1つのカット、その緊張の一瞬を作りあげるために、額に汗したり、ケンカしたり、笑ったり、落ちこんだり、神頼みしたり……が好きですし、すべてが終わって別れる瞬間も祭りのあとの寂しさがあって好きです。その後、出来上がりを見て、映画的快楽な瞬間がいくつも詰め込まれているといつまでも喜びを感じます。

映画の仕事を志した理由を教えてください。
資格もいらない定年もない夢のような仕事と思ってましたが……どうやらあるようで、本人の能力次第みたいです。やばいですね、どうしましょう(笑)

完成した映画を見て、いかが思われましたか?
ユーモアあふれるやけっぱちな人間模様が、個性豊かなキャストと腕っこきのスタッフに大八監督らしいいびつな細やかさが溶け合って、とても上品な作品になったと思います。もっと下品でもと思いましたが(笑)。ご覧になられた方が、きわめて真っ直ぐな内容なのに言葉で説明が難しく、ほかの何物にも似ていない“未知なる映画との遭遇”と感じてもらえたら嬉しいです。