プロフィール

1976年生まれ、愛知県出身。大阪芸術大学映像学科在学中、熊切和嘉監督の卒業制作『鬼畜大宴会』(97)に参加。以降、『海炭市叙景』(10/第65回毎日映画コンクール撮影賞受賞)、『私の男』(14)、『武曲 MUKOKU』(17)など多くの熊切作品の撮影を手がける。また大学同期の山下敦弘監督作品は、初期“ダメ男三部作”から、『天然コケッコー』(07)、『マイ・バック・ページ』(11)、『オーバー・フェンス』(16)に至るまで、同じく多くの撮影を担当。他の主な作品に『横道世之介』(13/沖田修一監督)、『そこのみにて光輝く』(14/呉美保監督)、『バンクーバーの朝日』(14/石井裕也監督)など。吉田監督とのタッグは、第54回日本映画撮影監督協会新人賞(三浦賞)受賞の『パーマネント野ばら』(10)、第34回ヨコハマ映画祭撮影賞受賞の『桐島、部活やめるってよ』(12)に続く3作目。

Q&A

本作での映像的なこだわりを教えてください。
白い光が灯っているようなイメージを大事にしました。今までの僕の作品は、フィルムっぽいというか、敢えていうと若干黄色い。ビデオっぽいと捉えられるかもしれませんが、今回は黄味を抜いた白でいきたいと監督に伝えました。

近藤さんにとって吉田監督はどんな存在ですか?
自分も成長し続けながら、ご一緒する作品ごとに、常に新しいなにかを提示し続けていきたいと思う存在です。

カメラを通して見た俳優陣の演技はいかがでしたか?
リリーさんは、細かいお芝居というより、なにかを必死に訴えている時の目だったり表情だったりがすごく印象的な方。『バンクーバーの朝日』でもご一緒した亀梨さんは、現場に向かう真摯な姿勢に特徴があって、こちらが丁寧に撮りたくなる人です。橋本さんは今回監督から「最大限美しくあれ」と言われていて、それはこの映画の肝でもあったので、彼女の美しさを最大限に捉えることを意識しました。中嶋さんは、いちばん安定感がありましたよね(笑)。

近藤さんが映画づくりの喜びを感じる瞬間は?
他の人の仕事を見られた時です。そもそも自分だけの仕事については別にそんなに優れているとは思っていない。合わさって助けられたなって、合わさった時に「ああ、いいな」って、一番最初の観客に近い感覚で思えた時が一番嬉しいです。それが面白くてカメラをはじめたというのもあります。

最初からカメラマン志望でいらしたのですか?
大学で初めて仲良くなった先輩がカメラマンをやっていて、こういう映画への関わり方があるんだなと知りました。レンズを通すと思ったよりも世の中って狭いんです。なんでこんなに映んないんだろう、目の前に広がっている世界はこんなに広くて面白いのに、カメラを通すと不自由な感じがすごくしました。それがうまいこと伝わるように撮りたいなと思ったのが最初です。

完成した映画を見て、いかが思われましたか?
笑っていいんだけど、すごく笑っていいのかどうか、その微妙さ加減が監督はお好きなんだろうなと思いました。バランスが面白くて、見るたび自分も新鮮な気持ちで見られます。確実に、自分のなかの特別な1本になっています。