米海軍の稼働中の潜水艦に乗船かつ撮影
マーシュ監督とプロデューサーたちは、観客が21世紀の最新鋭の潜水艦を“体験”できるように、できるだけ実物に近いセットを作ろうと考え、海軍顧問のクーンズを頼った。彼は撮影現場に何度もやって来て、最新の潜水艦を細部まで完璧に再現できているか確認し、言葉遣いや指令の出し方なども細かくチェックした。
バトラーと一緒にマーシュ監督も、撮影前に本作に登場するヴァージニア級攻撃型潜水艦と同じタイプの原子力潜水艦に乗船して海に出た。この体験でマーシュ監督は、潜水艦のセットを巨大なジンバル(回転台)の上に設置して撮影することを思いつく。「潜水艦に乗って海面から50度降下すると、すべてが傾き始める。とてもスリリングな体験だった。あの感覚を、俳優たちにも味わってほしかった。従来ならカメラを傾けて撮影して動きを出すが、それでは不十分だ。ジンバルの上のセットで演じるのは簡単なことではなかったが、自然に緊張感が生まれ、海の底にいるような気分になった」
また海軍は、パール・ハーバーに着岸している原子力潜水艦を開放し、2日間だけ撮影させてくれた。機密漏えいを防ぐためもあり、撮影にはずっと海軍の人間が付き添った。マーシュ監督は、「1日目は潜水艦の内部、2日目は潜水する様子を撮影した。8000トンもの巨大な機械が海を潜っていく映像は、CGでは絶対に作り出せないと思ったね」と振り返る。