『恐怖の報酬』のサスペンスと
『二十日鼠と人間』のドラマに
インスパイアされた脚本

プロデューサーのバート・ローゼンブラットは、『キル・ザ・ギャング 36回の爆破でも死ななかった男』で一緒に仕事をした、監督・脚本家のジョナサン・ヘンズリーから、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の『恐怖の報酬』(53)にひらめきを得た作品を作りたいと持ち掛けられた。山上の油田で発生した大火災を消火するため、トラックでニトログリセリンを運ぶ男たちを描いた傑作サスペンスで、何か一つでも間違いを犯せば、すべてが終わるという物語だ。ヘンズリーは、「10歳の頃に『恐怖の報酬』をテレビで見てから、この映画の虜になった」と語る。
また、ヘンズリーは『二十日鼠と人間』(92)のように、障害のある人物が登場する物語にも関心があったと言う。「不釣り合いな組み合わせの肉体労働者たちが一緒に旅に出る。その旅はあまりにも危険なために、まともな動機がある者だったら絶対にやらない。そういうところに惹かれていた」
こうして、二つのアイデアをもとに、ヘンズリーが書き上げた脚本を読んだ、プロデューサーのアル・コーレイは、「偉大な映画には、観客が共感できるキャラクターが登場する。本作の主人公は、一生懸命弟の面倒をみている。これまで弟のために自分の生活を犠牲にしてきたが、やっとチャンスが訪れた。この弟との関係を通して主人公の高潔さが描き出されていて、よくあるアクション映画とは一味違ったものになると感じた」と振り返る。