ロケは物語の舞台となるカナダのウィニペグで行われた。ヘンズリーはトラックの撮影について、「徹底的に現実に即した、ドキュメンタリーのようなテイストの映画にしたかった。トラックをカメラカーに載せて牽引するのが一番良い方法だが、18輪トラックを載せられるカメラカーがなかった。でも、サイドウィンドウと後方をグリーンスクリーンにして、背景を別に撮影するという方法は絶対にやりたくなかった。アイス・ロードも山間部の運転のシーンも、すべてリアルなものにしたかった」と語る。
試行錯誤の結果、ケンワース社製2020年型の18輪トラックを寄付してもらい、それをフォードF-550でグライダーのようにけん引した。「下でスタントが運転して、上では俳優たちが運転しているように見せながら演技をした。窓やフロントからは、実際の風景が見える。本作の98％をこうやって撮った。グリーンスクリーンを背景にした場面は一つもない。大型トラックの撮影で、ここまでやってのけた人たちはいないだろうね」とヘンズリーは胸を張る。
撮影監督は、クリント・イーストウッドの秘密兵器と呼ばれるトム・スターンが担当した。ヘンズリーは、「光は1日を通して変わっていくけれど、彼は露出計を使わずに、即座に照明を設定することができる。そんなことする人を初めて見た。彼は、この稀な才能を用いて太陽がどこに位置していて、その光をどうコントロールして、その日の時間帯に応じてどこに照明を設置すればいいかを理解する。それも超早いスピードでね」と称える。
スターンは、「3台の大型トラックを捉えようとすると、必然的に大きなスコープになる。だから私はジョナサンに、『アラビアのロレンス』を氷と雪で作ろうと提案した。そういう大きなスケールであると同時に、感情に訴えるキャラクターが登場する映画にすることを目指した。基本的には、すべてを自然に近いかたちで撮影したが、非常に高性能のカメラとアナモフィックレンズを使用した」と説明する。