湖の上に作られた2kmの
本物のアイス・ロード

『K-19』でウィニペグ湖の湖面に、2kmのアイス・ロードを作ったアーヴィンダー・グレイウォルが、プロダクション・デザイナーを務めた。『K-19』でアイス・ロード制作に協力した地元の漁業従事者が、本作にも参加した。グレイウォルは、その過程をこう説明する。「陸の上にアイス・ロードを作って、その周りにCGで生成した画像を施すのではなく、湖面の上に作った本物の氷を撮影しようと提案した。トラックを走らせるためには、約75cmから1mの厚みが必要だった。運よくシーズンの早い時期に氷が張り始めたから、透明な美しい氷になって、ガラスのように見えることもあった。最終的に2kmのアイス・ロードを作ることに成功し、そのうち1kmは地平線に向かっていてその先には何も見えない。登場人物が全く何もないところに放り出されて、救いようがないという印象を与えることができた。もう1kmは陸に沿っていて、木が見えるショットのために使っている」
氷が割れるシーンは、アイスリンクの中に大きな穴を掘って、そこに水を張って凍らせた。これらの場面も、デジタル処理はしていない。ニーソンとマーカスが、氷の割れ目に落ちるシーンで、彼らはその水の穴に入ることになった。ニーソンは、「水の中に10~12秒間潜ってから、水面に戻って来るという段取りだった。ここまで冷たい水に入った場合、60秒以内に呼吸を整えないと命を落とすと聞いた。すべてが本物だからこそ、観客は絶対にスリルを味わうよ」と自信を込めて語る。
鉱山は、ガーベッジ・ヒルという丘で、視覚効果とカメラのアングルを使って山脈に見えるように撮影された。ヘンズリーが、「角度のある起伏があって、特定のアスペクト比でフレーミングして、上下のCG画像を作成することができた」と解説する。