空での撮影、
リアリティの追及

最初からハーパー監督の目的は、観客を気球に乗せるような経験をさせることだった。
その実現のため、撮影はできる限り空中で行われた。最も命がけのシーンとなる、アメリアが気球の外面を登る場面も空中で撮影された。この場面はリアリティを実現するために、まず、ジョーンズが撮影所で気球の上に登り。次にスタントと共に900メートル上空を飛んでいる気球に登り、最後にヘリコプターから1万1000メートル上空の展望を撮影した。
ジョーンズとレッドメインにとっても、気球で飛びながらの撮影は決して忘れられない経験となった。ジョーンズが語る。「壮大だった。気球で飛ぶことは、ほんとに特別だった。気球飛行が素晴らしいのは、何が起こるか分からなくて、どこに着陸するか分からないところ。風に身をまかせるしかないの」
レッドメインも振り返る。「気球は、常に熱狂の的だった。ある日の朝、僕たちはオックスフォードの上空を飛んでいた。人々は見上げて、僕たちに手を振っていたんだ。どこに着陸するか分からなかったり、空中に身をまかせることが、人を魅了するんだね。気球を着陸させるときは、ただ門のある野原を探して、家畜がいませんようにと願い、幸運を祈るだけだったんだ!」
カメラマンのスティールも興奮気味に語る。「カメラマンとして、本当に神からの贈り物のような映画に出会えた。僕たちは、驚くべき空の景色の周辺を気球で漂いながら撮ったんだ。世界で最高の仕事をさせてもらったよ」