[脚本]

エドモンド・ウォン、深沢 寛、
チェン・タイリ、ジル・レオン

『イップ・マン 完結』も、これまでのシリーズと同様にイップ・マンの武術と家族について描いています。前作『イップ・マン 継承』で最愛の妻を亡くした後から物語が始まり、イップ・マンは反抗期に入る息子への対応に苦心します。そこで、弟子のブルース・リーから、アメリカでの国際空手道大会に出席してほしいと招待を受けるのです。1964年、世界中がアメリカン・ドリームを追いかけていた時代に、イップ・マンは息子を海外へ移住させる可能性を探ることを決意し、ひとりサンフランシスコに向かいます。そこで、白人至上主義者による人種差別や文化間の不平等、チャイナタウンの武術家たちの敵意に直面するのです。
イップ・マンは著名な英雄ですから、私たちは彼の人物像が忠実でなければならないと考えました。年齢を重ねるにつれ、老いの兆しを見せるのは当然の事として表現することを決めたのです。彼は60歳を前にして癌だと診断され、息子の将来を心配しますが、反抗期の息子と意志疎通を図るには、時間がないのではと考えます。
ウィルソン・イップ監督とは、『イップ・マン 序章』から約10年に及ぶこのシリーズの完結篇となる本作に完璧な結末をもたらしたいと考え、展開を練っていきました。
本作では、アジアからアメリカへと舞台を移し、イップ・マンは多くの武術家と対面し、西洋の人種差別とも対決することになりました。また、観客はイップ・マンの旅を通じて、先祖の歩みを辿り、海外でのアジア系移民の生活の大変さもを想像することができるでしょう。中国文化を前面に描き、西洋社会における人種差別と対峙するという時代背景を反映させた物語として完成させていきました。