[美術]
ケネス・マク
私たち美術チームは60年代のアメリカを再現することをあえてせず、鮮やかな赤と緑を基調に、チャイナタウンでの生活を表現しました。チャイナタウン以外の学校、病院、レストラン、兵舎などのセットについては、異なるパステルカラーを使用し、これまでの3作よりも豊かな色合いを使っています。
過度な視覚効果は加えず、どのシーンも主人公の生活、背景、出来事を元にデザインをするように意識をしました。例えば、イップ・マンの香港の家は一家の女手を失ったため、もはや女性らしさはなく、いかにも父と息子のふたり暮らしといった雰囲気にしています。
広大な中華総会の内部にも注目してください。木とブロンズの彫刻をふんだんに使用し、リビングルームの中央に供物台を設置し、黒、ゴールド、緑といった暗めのトーンの色を意識し使いました。このセットはどこか“三合会”(香港を拠点にした犯罪組織)の支部のように見えるかもしれません。様々な種類の家具を並べ、ひとつの大家族の家に見えるようにしています。ここは中国武術の異なる分派の代表たちをもてなせるだけの広さが必要で、リビングルームには、18人が座れる大きな円卓を置き、団結した雰囲気を作りだしました。こうしたセットのすべては、海外で暮らす中国人が一致団結する必要性があったことを反映しています。