「彼女ならいける!」と全員納得の閻魔あい

閻魔あいのキャスティングは難航した。そこに存在するだけで圧倒的なインパクトが必要で、誰にでも出来る役ではない。いろいろ模索していた中で、平田プロデューサーは、「カメラの前で存在感をコントロール出来る、玉城ティナさんが浮かびました。西洋風な外見なので、意外と思われるかもしれませんが、ご覧いただければ納得されるだろうという自信がありましたね」と説明する。
白石監督も、平田プロデューサーの「玉城さんは?」というひと言に、「『あ!』とピンときました」と振り返る。「その美しさは近寄りがたい雰囲気があり、立ち姿から放たれる存在感『人ならざるもの』としてぴったり。ご本人は基本的に物静かで存在を主張しない印象があるので、そこも閻魔あいに重なりました。演技力もメキメキと増しているし、彼女なら絶対いける、そう思いました」
白石監督は、目線や立ち位置、立ち振る舞いのスピード、髪型などのルックにこだわったが、「とはいえ、玉城さんがアニメを観て研究して、そこに寄せて役作りをしてきてくれたこともあり、あまり細かい演出の必要はなかったです。決め台詞の『いっぺん、死んでみる?』もすぐに上手くいきました。童謡を歌うシーンがいくつかあり、玉城さん、歌は凄くお上手なんですが、現場ではどうしても音程がオリジナルなものになる箇所が多々あって。訊くと、若いせいか沖縄という育った土地のせいか、知らない童謡が多かったようです。アフレコで歌い直してもらいましたが、その時はバッチリでした」と語る。