遥か昔、人類は地下開発の労働力として
人工生命体のマリガンを創造した
自我に目覚めたマリガンは自らのクローンを増やして人類に反乱
それから1600年後の世界人類は地下世界で独自に進化するマリガンの生態調査を始めた
人類は核の冬により生態系が崩壊し汚染された地上を捨て去り生活圏を地下に求めた。
AG元年 人類は生命倫理法を改定し、自らの遺伝子操作による環境適合性を推進し、特化型強化人間の開発を進めた。そして不足する労働力を補うため、人類に次ぐ知的生命体マリガンの創造を始める。
マリガンは作業用途に合わせ6種類が開発され、それを元にクローニングで量産していた。人類はマリガン管理のために生殖機能を持たせず、視力も与えなかった(視力は補助装置を作業者のみに支給)。
地下開発に際し人類が過去に地層処理した核廃棄物がマリガンを苦しめ不満を募らせていった。そして反体制が組織され自らクローンを増やして勢力を広め、1789年人類に反乱。戦いは120年間続き1909年停戦協定締結。
以降人類は地表から3000m以内に、それよりも深い地下世界をマリガンが支配することになる。
2253年マリガンの地下都市カープバールで起こった反物質製造中の事故によりゲオルギー連鎖反応が発生。
ハンス中毒やダネリヤ感染を引き起こしカープバールはゴーストタウン化した。
2343年カープバールでマリガンの変異体が生まれ、独自の進化を始める。
2386年正体不明のウィルスにより人類は遺伝子の崩壊が始まり存続の危機に瀕するが、ウィルス遺伝子を利用した人体の無機質転化により人類は不死と言える寿命を得た。呼吸も血液循環も必要無く微弱な電気刺激さえあれば頭部のみで自我を保つ事ができたが、代償として生殖能力を失った。
3385年、新たなウィルスの発生で人口はさらに減少し、存続の危機を感じた人類は偶然偵察カメラで撮影されたマリガンに生殖能力の可能性を発見し地下世界の調査を始めた。その情報を確認する仕事に一般応募した主人公パートン。
そのような不確実な事案は世界中にあふれているので、パートンの調査も特に重要視はされていなかった。停戦協定から1500年近くたち双方敵対心も薄れ、記憶を失ったパートンに親切に接するマリガン達。全てを思い出したパートンは自分が追っていた対象は無関係と知るが、マリガンの生命システムを聞き人類再生の希望と考え、新たな探索に向かう。
[マリガン]
当初、用途別に6種類が創られたが変異体の生命の木誕生以降、急激に独自の進化を始める。地下での生物は生命の木から派生しあらゆる形態に変異していった。基本的にマリガンは視覚器官を持たないが受光体を持つ線虫の移植や反響定位能力を持っている。
男女のような形態はあるが生殖能力は持っていない。全体意識が強くマリガン同士の大きな争いは少ないが、知性のない野生種のマリガンは脅威の存在である。
社会システムは地方政府により管理されているが地域による独自性も進んでいる。人類よりも文明は劣るが圧倒的な生体数と広大な生息域を誇っている。
[カールバール都市]
マリガンの地下都市。過去に地層処分された核廃棄物が多い地域だったが遺伝子変異を促す事にもなった。
最初にマリガンが決起した場所でもある。赤道直下に作られた加速器で反物質を生成していたが、ゲオルギー連鎖反応による
異常現象のせいでゴーストタウンになった。
[地下空間]
岩石圧縮技術により掘削物を地上に排出することなく硬質建材に作り変えて空間を広げる事ができる。発光性の浮遊菌が天井に堆積し場所によっては地上のような明るさがある。インフラ設備も整い無料の公共交通機関も機能しているが、地域による格差が大きい。
[赤鉄]
赤道ラインの地下に作られたノンストップで走り続ける都市型巨大鉄道。
[生命の木]
2343年、ゴーストタウンとなっていたカープバール都市に突如発生したマリガンの樹状変異体。それまで6種類のマリガンをクローニングする事でしか数を増やすことができなかったが、生命の木により自発的多様性のある生態系が形成された。生命の木はこぶし大のマリガン種子を数百実らせ、その中の数個が新しい生命の木になる素質を持っている。母体となるマリガンの気質を受け継ぐため、本来は大切に育てられる。ほとんどの生命の木はマリガン地方政府が管理し、その種子が各地に分配されるが生育途中に急変する固体もあり、野生種として育つ木も多い。ただ過酷な環境で育つ母体の木からは凶暴な変異体が生まれる確率が高く、そういった固体は発見次第殺処分されている。