少年が馬と一緒にとぼとぼと荒野を歩いている。
おカネも食べ物もないのに、少年は馬をどうにか救おうとしている。
たぶん、この光景を一生忘れない。
人生そのものじゃないか、と思う。
それにしてもチャーリー少年、最高に魅力的でした。
石井裕也(映画監督)
十代の若者の孤独、頼りたい気持ち、頼られたい気持ち、また喪失感を淡々としながらも強力に描いた作品です。
こういう映画に気づかないとなればもったないない!
ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
チャーリーとピートの家は、この地上には求めるべくもなかったのかもしれない。
それくらい、二つの命は美しい。
大九明子(映画監督『美人が婚活してみたら』)
始まって数分でこれは名作だと確信した。
『ギルバート・グレイプ』+『シービスケット』。
スクリーンを見つめながら、いつかの自分と重なり、胸が壊れそうだった。
樋口毅宏(作家)
大自然の荒野と人間社会の荒野。
二つの荒野をさまよう少年が遂に掴んだものを
少年に還って僕も掴みたい。
志茂田景樹(作家 よい子に読み聞かせ隊 隊長)
みずみずしくもハラハラさせる青春の素晴らしいドラマ。
チャーリーが走るたびに僕の10代の記憶が甦ります。とてもいい映画です。
ロバート キャンベル(日本文学研究者)
チャーリー・プラマー、少年の美点の結晶体みたいだった。
馬より崇高な生き物に見える瞬間すらあった。
山内マリコ(作家)
少年も競走馬も、その生を翻弄される脆く儚い存在だけれど、
そのうちにある仄かな強さ靭やかさが、眩しく輝いて見える。
小林エリカ(作家、マンガ家)
少女が言った。
他に行く場所がないと身動きが取れなくなる、と。
少年はその夜、旅立ち、大切なものをまたひとつ失った。
どんな恐ろしい荒野でもさすらえばいいんだ、たったひとつの居場所を求めて。
『荒野にて』は、どこにも行けない時代に、
どこかに行く意志を肯定してくれる、美しい一編の詩だ。
中川龍太郎(映画監督)
圧倒的に無関心な世界をひとりさまよう少年を、
ここまで容赦なく描いた作品は少ない。
最後の救いさえ切なく心に響く。
金原瑞人(翻訳家)
チャーリー・プラマーの眼差しが頭から離れない。
その眼差しの奥に、スタッフ・キャストの誠実さが。
チャーリー、もう抜けられないね。そして僕もいつか、君の様に演じたい!
光石研(俳優)
ホンマタカシ(写真家)
居場所探しでもがき続ける少年の姿に、
自分探しの過去ある人は強烈な衝撃を受けるはず。
監督、マジ天才。
よしひろまさみち(映画ライター)
アメリカ西部の荒野の映像を楽しみに出かけたものの(もちろん美しかった)、
心に残ったものは青年の消えそうで消えない人間の良心。
その心根に賭ける監督の想いだった。
アメリカ北西部の荒野を美しく捉えたヘイ監督はイギリス人だった。
外からアメリカを見たものにしか描けない美しさがあった。
その美しさと、消えそうで消えない人間の良心、
その心根を信じている監督の想いがこの映画を支えている。
平野太呂(写真家)
毎朝、側道を走るしかなかった孤独な少年は、レースを走れなくなった競走馬と出逢う。
進路も退路も絶たれたふたつの命は、定められたコースを外れ、“荒野”へと分け入る。
路なき道を進む、このロード・ムービーは、
“文明社会”に引き篭もっている都会人に問いかける。
人生における”荒野“とは何かと。それは反逆なのか?自由なのか?墜落なのか?
そして少年は車道の真ん中を堂々と走る。その姿は、“荒野”を忘れた我々を強く揺さぶる。
小島秀夫(ゲームクリエイター)
※順不同 敬称略