本作では20頭のサラブレッドと、本作で映画デビューを果たした“スタースキー”など6頭の役者馬が活躍しており、動物トレーナーや競走馬アドバイザーが何週間もキャストやスタッフとともに尽力した。プラマーは撮影の3週間前にポートランド入りして、共演者である体重680kgの馬に慣れる時間を設けた。互いに信頼を築くアクティビティを重ね、次第に確かな化学反応が生まれていったという。「馬は頭が良くて、相手が自分に慣れているかどうかを理解するんだ。スタースキーと打ち解けてからは、撮影が終わったら一緒にいられなくなることを辛く感じたよ。スタースキーはとても賢くて優しい馬だから、映画を通してそれが伝わると嬉しいな」と語るプラマーは、こう続ける。「物語が進んでいく中で、僕らは真の友だちになるんだ。チャーリーはいつも愛を求めている。父親からも、デルやボニーや伯母さんからも。その愛をピートがチャーリーにくれたとき、チャーリーは最高の気持ちを体験するんだよ」
監督が付け加える。「プラマーは毎朝起きてピートの世話をすることを学んだ。彼の中にスタースキーを守りたいという気持ちが見えた時、僕はもう大丈夫だと思ったんだ」
セヴィニーも前もってポートランド入りをし、騎手が馬に乗るときの補助の仕方を練習した。さらに、ロサンゼルスでも訓練を受け、馬に慣れる努力をし、競馬や馬を扱う人たちの言語を学ぶためにホース・ウィスパラーについてのドキュメンタリー映画『Buck』(11)などの映画を見たりした。
ヘイと撮影監督マグヌス・ノアンホフ・ヨンクにとって、特に難しかったのは競馬シーンだった。ほとんどのシーンを1度のテイクで撮影しなければならなかったからだ。「レースは1度で成功させなければいけなかったので特に緊張した。スタースキーのような役者馬と本物の競走馬を混ぜて走らせないといけなかったからだ。幸い、動物に関してはほとんど問題なかった。スタースキーは完全なプロで、しっかり訓練されていたからね」と監督は説明する。