アクション映画の常識を変えた
ジョン・ウーのアクションスタイル

ジョン・ウー監督の独特のアクション表現は世界中のファンに知れ渡っている。本作でもこれらの特徴ある映像表現が用いられている。

【二丁拳銃アクション】
両手に銃器をもって華麗に立ち回るアクション。元々西部劇で使用されていた射撃法。これを現代に復活させたのがウー監督といわれる。『男たちの挽歌』以降、ハリウッドでもこのスタイルが流行。監督は武侠という中華圏の大衆娯楽の影響を強く受けていると語る。

【スローモーションの多用と多彩なカット割り】
ミュージカル映画ファンの監督はアクション振付に、ダンスの振付を参考にする。それをあらゆるアングルから撮影し、スローモーションと通常速度、アップやロングショットを入れ替え、緻密なカット割りで構成することで映像的快感を創出する。

【シンボルとしての白い鳩】
敬虔なクリスチャンの監督にとって白い鳩は「愛と平和」の象徴である。
『狼/男たちの挽歌・最終章』から、『レッドクリフ』に至るまで白い鳩が常に登場する。
本作ではドゥ・チウと矢村は、最初は敵対している。そんな2人の関係は、鳩が別々の方向に羽ばたく映像で表現される。2人が協力しはじめると、鳩は友情と相互理解の象徴として表現される。

【その他の特徴的な撮影スタイル】
■回転撃ち:体を回転させながら銃を撃つスタイル。
■メキシカン・スタンドオフ:至近距離で敵味方が銃を向け合う状態。ウー監督はトライアングルの構図が多い。
■教会での凄惨なアクション:不幸と幸福の落差を一気に演出する。