魅力的なキャストたち

【W主演の男たち】
本作の主人公は、無実の罪を着せられた国際弁護士のドゥ・チウと、真実を突きとめるためなら我が身を厭わない矢村警部だ。主人公のコンセプトは多くの監督作品に共通する「真実の究明」と「友情」だ。チャン・ハンユーと福山雅治という2大スターの共演で踏襲されている。
「キャラクターとストーリーに多くの変更を加えた。例えば、主人公の杜丘は中国人とし、職業は検事から製薬会社の顧問弁護士にした。高倉健さんにしかできない役だと思ったので、チャン・ハンユーには、剛毅でありながらも優しくて甘い魅力もあるクラーク・ゲイブルやハンフリー・ボガートが演じるようなキャラクターにした」と監督は語る。
チャン・ハンユーは『追捕』の中国語吹替版を観て、声優を志し映画界に入ったと語る。また監督の長年のファンで、オファーが来た時に興奮と感動でうれし泣きしたと言う。
「福山雅治は品格があり物腰がやわらかで、優しさと強さを合わせ持っている。オリジナルの矢村警部は冷徹すぎて合わないと思った。そこで、悲しい過去を持つ設定を加え、感情豊かなキャラクターにした。より人間味のある現代的なキャラクターになったと思う」と監督は語る。
福山はかつて監督とTVCMで仕事をしていた。長期にわたった撮影はこれまでで最も大規模なプロジェクトだったと振り返る。最も忘れられない経験は、監督のアクションシーンに参加したことだという「僕が演じたシーンで白い鳩を飛ばせてくれて、ものすごく感動した。あまりにうれしくて、何度もモニターでチェックしたよ」。

【新しい真由美】
真由美は謎めいた重要な女性キャラクターだ。「オリジナルの真由美は自由で野性的で気性の激しい女性なのに対し、本作の真由美は同じ気質を持ちながらも、より複雑な境遇を背負っているキャラクターです。チー・ウェイは見事に演じきったよ」と監督は語る。チー・ウェイはオリジナルを繰り返し観て中野良子の演技を研究したと語る。「監督が役柄に深みを与えてくれたことに感謝している。表面的には個性的な現代女性だけど重い過去を抱えている。役柄を理解し表現できているか、絶えず確認しながら演じていきました」。

【女殺し屋】
ドゥ・チウはレインとドーンという2人の女殺し屋にも追われる。監督作品で女殺し屋が登場するのは、本作が初めてだ。
「オリジナルでは、主人公を実際に攻撃する明らかな悪役はいなかった。だから2人の女殺し屋を加えたんだ。ハ・ジウォンと私の娘のアンジェルス・ウーが演じている。斬新なキャスティングが好きなんだ。『男たちの挽歌』にチョウ・ユンファをキャスティングしたとき、みんなから驚かれたよ」
韓国女優ハ・ジウォンはTVドラマ「シークレット・ガーデン」等で、アクションができる韓国で唯一の女優と言われている。「監督の大ファンなの。『男たちの挽歌』を観てアクションスターになりたいと思った。アクションシーンはミュージカルのダンスシーンのように優雅だわ。監督作品で初めての女殺し屋だと聞いてものすごく興奮したわ」と語る。もう一人の女殺し屋ドーンを演じたアンジェルス・ウーは、役作りのために撮影までの1カ月間、アクションと武器の扱い方の特訓に励んだという。

【全編日本ロケと信頼厚い日本人スタッフたち】
本作は大阪を中心に全編日本ロケを行った。撮影、美術、アクション振付、音楽など日本を代表するスタッフが集結した。監督は彼らに大変刺激を受けたと語る。「日本のスタッフは勤勉でプロ意識が高い。プランを遂行するために、全力を尽くし完璧に準備をするんだ。撮影監督の石坂拓郎は私のビジョンを的確に捉え、素晴らしいシーンに仕上げてくれる。特にアクションシーンが素晴らしかった」。