本作で最も重要だったのは、マンションが陥没穴に落ちていく様子を説得力ある映像で表現し、建物に小さな小石が付いただけでも、さらに落ちていくような緊張感を維持することだった。監督の前作『ザ・タワー　超高層ビル大火災』は、制御不能になった巨大な炎を消すために108階建ての超高層ビルに登らなければならない消防士たちの物語であった。そして本作では観客に地下500mの世界を体感させる。「自分の家が地下500mにあり、その中に大切な人が閉じ込められているなんて、誰も想像しないだろうから、想像力が膨らんだんだ」と監督は、韓国初の陥没事故映画を制作した経緯を語る。

そのビジョンを実現させたのは、『バトル・オーシャン／海上決戦』と『テロ，ライブ』を制作したVFXチーム。海戦シーンでジンバル（撮影時の揺れを低減するカメラに取り付ける機械）を使って巨大なセットを作り上げたVFXスーパーバイザーのソ・ギョンフンは巨大な陥没穴をスクリーンに映し出した。「ビル全体が陥没していくビジュアルをリアルに表現することに力を注いだ。ビルを水面下500mに沈めるところから、森の中をハイキングしているようなエリアまで、災害に直面した時の様々な体験を見せるために、多くの時間とエネルギーを注いだ」とギョンフンは語る。

プロダクションデザイナーのキム・テヨンは、アパートの外観や深さ500mの陥没穴がどのようなものかを視覚的に表現するのに貢献した。「見慣れた背景や空間を使って、その中で災害を演出するのが制作デザインのコンセプトだった」と語るテヨンは、クリーンで快適な‘家’のイメージを作り、災害が発生するとそれをもとに大きく変化させた。また、アパートが陥没穴の中に入ってからは、その中に閉じ込められた人々がより流動的に動けるように、できるだけ多くのセットを繋げたという。
このように、“塔”“轟流”“LIVE”の制作陣が結集して、都市部に巨大な陥没穴が出現する様子をリアルに描き出した。